- 2026/11/06 06:30 掲載
PEファンドに転職したのに「仕事がない」?コンサル出身が痛感「想定外のキツさ」3選
連載:PEファンドのリアル
クレアシオン・キャピタル 投資チーム マネジャー。アクセンチュアにおいて、ビジネスプロセス改善等のコンサルティングに従事。その後、フロスト&サリバンでの戦略コンサルティング業務、外資系スタートアップ企業での日本法人立ち上げおよび代表取締役社長経験を経て、クレアシオン・キャピタルに参画。投資チームにて未上場企業への投資および投資後の経営支援に携わる。慶應義塾大学経済学部卒業。
案件が来ない…PEファンド特有の「仕事のつかみ方」
事業会社には当たり前だが日々のオペレーションがある。筆者の前職時代、マウスピース型矯正を手がけるZenyumの日本法人の責任者になったときには、提携先の開拓、リーガルチェック、オフィス検討や契約、立ち上げメンバーの採用、日本に合わせたビジネスプロセスの構築、サービスサイトの構築、中期経営計画の策定など、やることは山積みだった。
PEファンドは少し毛色が違う。
入ったところで、タイミングよく進行中の案件があるとは限らない。既存の投資先は担当メンバーが経営支援を担っており、あえて新メンバー追加が必要となるタイミングは多くない。それなら自分で投資案件を取ってこようと思っても、M&A仲介会社やFA(ファイナンシャル・アドバイザー)、金融機関といった案件の紹介元との関係が薄いコンサルティング会社や事業会社の出身者には、それもなかなか難しい。
投資実行までたどり着けない…案件獲得より難しい“次の壁”
現実的には、シニアメンバーに紹介が来た案件の実働担当として検討を進めることになるが、それも言うほど頻繁にあるわけではない。ファンドやタイミングにもよるが、国内の中堅企業向けファンドで投資に至る案件は、通常で年に3~4件程度である。年1件、あるいは0件というケースもあるだろう。そうなると、ファンドに入ったものの自分の価値を発揮できる仕事がない、という状況が起こりうる。新規投資案件の実行や既存案件のバリューアップがなくとも、仲介会社やFA、金融機関との関係構築に励んだり、譲渡意向がはっきりしない会社に提案書を作って面談を重ねて将来案件の種まきをすることはもちろんできるし、それ自体は必要な仕事である。筆者もそのような活動を続けて紹介元の方々との関係を構築し、徐々に直接案件を紹介いただける機会は増えてきた。
ただ、紹介案件の大半は投資に至らない。ファンドとして決まっている投資基準に満たなかったり、どうしても強みが見いだせなかったり、強みはあるものの売主側の目線が高く合意形成が難しかったり、買収価格を提示したものの、最終的にはほかの買い手に決まってしまったり等々は日常茶飯事である。
担当案件がなく、新規実行もできず、柔らかい状態の案件に対して提案書を書いたり、進みそうになって事業分析やモデリングをしても社内を通すことができなかったり、という日々がずっと続いてしまうと、ある種の虚しさを抱えることは想像に難くない。
筆者の場合は幸運だった。入社後すぐに既存の投資先の経営支援にアサインしてもらい、同時に新規案件の検討と投資実行にも携わることができた。だが、それは一言でまとめると「運がよかったから」にほかならない。
具体的に言うと、たまたま筆者の有するスキルセットが既存投資先の経営支援や新規投資先の検討に合いそうだと思ってもらえたこと、新規メンバーをアサインする余地があったこと、ファンドの方針としてしっかり経験を積ませようとしてくれていること、などなど。少し歯車が狂っていたら、担当案件がなく困っていた可能性もあった。 【次ページ】コンサル出身でも足りない? 求められる知識の幅
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