- 2026/11/06 06:30 掲載
PEファンドに転職したのに「仕事がない」?コンサル出身が痛感「想定外のキツさ」3選(3/3)
たった一言が億円リスクに…PEファンドが背負う「最終責任」
買収価格はどうするのか、株式譲渡契約でリスクをどうヘッジするか、どこまで銀行借り入れを起こすべきか。そして経営陣の再出資やストックオプションの設計はどうするか──。投資の前に決めることは、どれも後から取り返しがつかない。投資後も心配事は尽きない。業界そのものが崩れる恐れはないか。業界に問題がなくても対象会社に何かが起きて一気に営業成績が落ちたり、キーパーソンが抜けたり、解約率が跳ね上がったりしないか、等々。
業績が想定以上に悪化して財務制限条項に抵触してしまったり、約定弁済がキャッシュフローに必要以上のインパクトを与えるようになった場合、返済条件の見直しを銀行と交渉しなければならない。すべてがうまくいって何とか業績向上を実現したとしても、売却のタイミングで良い買い手が見つからず、想定したリターンが出ない可能性もある。
正直に言えば、すべてを自分の行動でどうにかできるものではない。一方で、最終責任者はエクイティホルダーであるPEファンドであり、その代表として投資を実行し担当しているのは自分である。
モデルで置いた仮定の少しの違い、契約の文言、スキームの設計、業界の見立て、経営者やオーナーとの会話で出た一言。どこで投資できなくなるか、どこで将来の大きなリスクを抱え込むかは分からないし、そのリスクは億円単位である。
とはいえ、リスクを怖がっていたら投資はできない。リスクと引き換えにリターンを得るのが投資である。そのことは分かっていても、プレッシャーが非常に大きいことは間違いない。
【3つの理由】それでもこんなに面白い仕事はない
これらのキツさは、裏返すと面白さでありやりがいである。1つ目に、仕事をつかみ取る難易度が高いからこそ、社外の紹介元やプロフェッショナルファーム、対象会社のマネジメントはもちろん、社内のメンバーに対しても丁寧なコミュニケーションを取り、信頼を得るインセンティブが働く。
2つ目に、必要なナレッジ・スキルの幅が本当に広いからこそ、慣れや惰性で仕事をすることがなくなり、常にフレッシュかつ謙虚なマインドで取り組むことができる。
そして3つ目に、エクイティホルダーとしての最終責任があるからこそ、どんなことが起きても自分の責任として捉え、企業をよりよくするための活動に全力を尽くすことができる。
経営に本気で関わりたい人にとって、これほど幅広く、これほど深く経営に関われる仕事は多くない。この記事が、この仕事を考える人にとって、良い面だけでなく重さも含めて判断する材料になれば幸いである。
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