- 会員限定
- 2026/08/06 06:10 掲載
意思決定をも左右する…元グーグル幹部が明かす一流の人の“雑談”と“時間の使い方”
答えの価値が暴落した時代、人間に残された役割とは
──現代は、AIツールを使えばほぼ何でも答えを得られる時代です。AI時代における人間の役割や、コミュニケーションの意義についてどのようにお考えですか。ピョートル・フェリクス・グジバチ氏(以下、ピョートル氏):今、答えの価値は暴落しています。ほぼ0円で何でも答えを得られます。ChatGPTなどで役割を与えれば良い答えが出ます。
ただ、本格的に答えを出す前の「前提」を正しく設定しないとダメです。AIにも前提を疑わせることはできます。ただ、どの前提を壊し、何を判断軸にし、その結果に誰が責任を持つのかを決めるのは、人間の役割です。
自分の前提が正しいのかを疑って、全体を一度考え直したほうがいいです。答えはどこにでもありますが、判断軸になる大切な柱をしっかり整えておかないと、間違った答えを出す可能性があります。
──意思決定の前提を整えること以外に、対面でのコミュニケーションにおいて人間にしか察知できない部分とは何ですか。
ピョートル氏:人間は、対面の会話において、表情や声の変化、間、言葉と態度のずれ、これまでの関係性など、文字情報だけでは捉えにくい文脈を総合的に受け取ることができます。相手が口では賛成していても、どこか迷いや違和感を持っていることもあります。そうした情報は、議事録だけでは残りません。
すべての会話が録画され、議事録に残るわけではありません。むしろ、議事録に残らない時間にこそ、相手の本音や迷い、背景が表れることがあります。その時間をどう使うかは、人間のコミュニケーションに残された重要な領域です。
なぜ一流は「天気の話」をしない? 成果を生む“逆算の思考”
──日本のビジネスシーンでは、「今日暑いですね」といった無難な天気の話から入ることが多いです。極端な仮説ですが、たとえば「今日暑いね」などと嫌なことを共感するための1つのメソッドではないかと思っています。このような無難な話は、誰も傷つけない先人たちの知恵ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。ピョートル氏:その通りです。デジタル化の前で時間があり、グローバル化がなければそれでもいいのですが、どのビジネスでも今はあらゆる方向から圧倒的な変化がやってきています。自分がどう動いて相手とどういう関係性を持ってより良い成果が出せるかを再設計しなければなりません。
天気の話が完全にダメとは言いません。それで共感を抱く時間があればいいのですが、それより深い情報も必要です。
──では、仮に無難な天気の話から入ったとしても、一流の人はそれをどのように深い会話へとつなげていくのでしょうか。
ピョートル氏:ただ「今日暑いですね」と雑談を終わらせてからアジェンダに入るといったことは一流の人はしません。たとえば、「今日暑いですね。普段そういう暑い時にお客さまは何をなさっているんですか?」と広げていけば、相手が普段は何を大切にしているかが理解できます。
「海が好きで子供と遊びに行くんです」と言われたら「何歳ですか?」とさらに広げてき、そこで得た情報を覚えておけば、次回の会話や提案の際に、相手が大切にしていることを踏まえたコミュニケーションができます。そこまで相手を知り、相手に価値を提供していくことが大切です。
──圧倒的な成果を出す「世界の一流」と呼ばれる人たちは、時間の使い方に対する認識が根本的に違うのでしょうか。
ピョートル氏:モルガン・スタンレーやグーグルなど、グローバルに動いている人たちとずっと仕事をしてきましたが、彼らはまず「時間が有限である」という認識をしています。圧倒的にパフォーマンスを出している人たちは、自分が死ぬという意識もしています。
ゴールが高い仕事を行うために、いかに短時間でショートカットを通じて圧倒的な成果を出すかを常々考えます。そうすると、どう時間を使うかについても、1秒1分でも設計し、自分の行動パターンを成果が生み出しやすくなる行動に合わせます。 【次ページ】会議はただの“演劇”? 意思決定を左右する「良い雑談」の正体
キャリア形成のおすすめコンテンツ
PR
PR
PR