- 2026/08/20 06:10 掲載
毎週1on1をしても部下が育たない会社の共通点…“AI時代のマネジメント”とは
第2回はこちら(この記事は第3回です)
「心理的安全性=ぬるま湯」という誤解…本当の役割とは
──世界一流のリーダーは、心理的安全性と厳しいフィードバックをどのように両立しているのでしょうか。ピョートル・フェリクス・グジバチ氏(以下、ピョートル氏):スポーツでたとえるなら、試合中や試合後に、「自分がミスをした」「助けが必要だ」「この戦術は機能していない」といった、チームの成果に必要なことを立場を過度に恐れずに言える状態が心理的安全性です。何を言ってもよいという意味ではありません。 相手への敬意を保ちながら、仕事に必要な異論、懸念、失敗を表に出せることが重要です。
──心理的安全性という言葉を、「みんなで仲良くする環境」と勘違いしているケースも多いように感じます。本来の役割とは何でしょうか。
ピョートル氏:「心理的安全性=ぬるい・気持ちいい」と勘違いしてしまう人もいます。みんなで“仲良く”したり、厳しい仕事をやめたりするのではなく、プロとしていかに最大の成果を生み出していくか、周りにポジティブな影響を与えるかは、どの仕事でも必要不可欠なものです。
その中で、人が自分の弱さや分からないことを隠さず、必要な助けを求められること。そして、相手への敬意を保ちながら、仕事を改善するための「アイデアの対立」ができることが、心理的安全性の重要な役割です。感情的な対立ではなく、物事をよく改善していくための会話をどうしていくかということです。
「ナイス」は不親切? 成果につながる「カインド」な姿勢
──リーダー側は心理的安全性を担保するように言われる中で、厳しいフィードバックをするモチベーションが上がらないという悩みもあるかと思います。この距離感や厳しさの温度感をどう見極めればいいのでしょうか。ピョートル氏:フィードバックの頻度をどう考えるかが重要です。日常で小さなフィードバックをしないと、大きなフィードバックができなくなってしまいます。
たとえば毎日、「ちょっと待ってね、この文字ちょっと間違ってない?」といった小さな会話をしていなければ、いざというときに「今回、固有名詞の確認漏れが複数ありました。公開後の修正リスクが高いので、次回から入稿前に確認方法を変えましょう」といったルール変更を伴うような大きな会話はできません。
毎日褒める、あるいは改善してもらうという小さなサイクルをひたすら細かく、早めに回していれば、結果として後から大きなフィードバックをしなくて済むようになります。
──もう1つ、フィードバックにおいて重要な視点として挙げられている「ナイス」と「カインド」の違いについてどのようにお考えですか。
ピョートル氏:心理的安全性イコール「ナイス(優しい)」というのは大間違いです。みんなでニコニコして優しい言葉をかけ合うということではなく、本当に「カインド(親切)」に接してくれるかどうかが大事なのです。
分かりやすい例を挙げるなら、自分のチャックが開いているときには、誰だって指摘してほしいですよね。でも、誰も何も言わないままだと、後で自分の姿(動画など)を見たときにとても恥ずかしい思いをすることになります。言わないのはナイスかもしれませんが、不親切です。「ここは改善しないと失敗しちゃうよ」と、必要不可欠なフィードバック、つまり相手の成果につながる情報を親切に伝えてあげる姿勢が、本当のカインドなのです。
ただし、「相手のために言っている」という意図だけでは十分ではありません。具体的な事実に基づき、相手が行動を変えられる形で、敬意を持って伝える。そこまで含めてカインドです。率直さから敬意を引けば、ただの攻撃です。敬意から率直さを引けば、ただの遠慮です。
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