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「ブロックチェーンでの決済」が広まるとどのような未来が拓けるのか。先進ビジネスで需要が高まる理由とは? 最新事情に詳しい一般社団法人FINOVATORS Co-Founder 藤井 達人氏の「分散型金融(DeFi)」に関する講演から、ブロックチェーン決済の可能性に迫る。
※本記事は、一般社団法人Fintech協会が2月に開催した「DeFiが拓くブロックチェーンの社会実装 - 決済・Libra・STO」での講演内容をもとに再構成したものです。一部の内容は現在と異なる場合があります。
ビジネスシーンにおける「ブロックチェーン決済」の可能性
低コストで高度なITインフラの構築を目指し、中国をはじめとする世界各国、そして日本でもブロックチェーンの社会実装が進んでいる。
既存インフラの置き換えにとどまらず、“バリューチェーン(企業活動での業務の工程を機能別にとらえること)の透明化”のように、従来の仕組みでは実装が難しかったシステムを構築できることが期待され、多くの企業や公的機関が課題解決を試みているのだ。
「ビジネス上のさまざまな取引がブロックチェーン上に実装されると、取引の実行にともなう債権や債務の解消が可能になります。このため、従来の銀行システムによる決済よりも、ブロックチェーン上でのシームレスな決済手段への需要が高まると想定しています。ブロックチェーン決済へのニーズも同様です」(藤井氏)
ここで述べる「ブロックチェーン決済」とは、ブロックチェーン上の通貨で行う決済行為を意味している。トークン所有権が、相手方のアドレスなどに移動することよって決済完了と見なす仕組みだ。
「ブロックチェーンそのものはソフトウェアの領域ですので、トークンとして何を見立ててもよい点こそが重要です。たとえば、何らかのリソース、アセット、有価証券、アクセス権、ID、ゲームなどのデジタルアイテムが、トークンとして表現されるのです」(藤井氏)
「ブロックチェーン決済」の利点とは
ブロックチェーン決済の利点は、中間システムの介在がないため、低コストでDVP(Delivery Versus Payment:内部管理型証券資金同時受渡)、PVP(Payment Versus Payment:外国為替同時受渡)決済が可能である点と、タイムラグも縮小する点だ。
さらに、スマートコントラクトを活用することでエスクロー(代金の安全な決済を担うこと)などの複雑な契約処理も実装できる。
ブロックチェーン決済で想定される適応領域は広い。たとえば、デジタル証券取引では、ブロックチェーン上のトークンとして有価証券を発行し、資金決済をブロックチェーン決済で実施する。
これによりT+0(Tプラス0)化(約定日と決済日が同じ日であること)や低コストDVP、ポストプロセス全般の自動化、効率化が可能となる。
CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリングサービス、電動化)など、次世代自動車の領域では、異なるメーカーの自動車がVID(VehicleID)を持ってブロックチェーン上に給油や駐車などのアクティビティを記録し、都度もしくはまとめて決済するような展望がある。低コストの決済インフラを提供できるのだ。
MaaSの領域では、異なる交通手段や異なる運営企業において利用履歴をブロックチェーン上に記録し、事業者間で決済するというシーンが考えられる。
これにより、さまざまな種類の乗車チケットの発行を可能にしたり、小規模事業者の参入を促したりといったことが期待される。
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