開閉ボタン
ユーザーメニュー
ユーザーメニューコンテンツ
ログイン
  • 「自行の従業員が感染したら」、金融機関のパンデミック対策を整理する

  • 会員限定
  • 2020/05/08

「自行の従業員が感染したら」、金融機関のパンデミック対策を整理する

大野博堂の金融最前線(18)

新型コロナウィルスが猛威を振るう中、金融機関では自行の「BCP(事業継続計画)」に基づいた事業継続対策に追われている。パンデミック発生時における有事での対応策をどう策定していくべきか、金融機関におけるパンデミック対策の在り方について改めて整理する。

NTTデータ経営研究所 パートナー 金融政策コンサルティングユニット長 大野博堂

NTTデータ経営研究所 パートナー 金融政策コンサルティングユニット長 大野博堂

93年早稲田大学卒後、NTTデータ通信(現NTTデータ)入社。金融派生商品のプライシングシステムの企画などに従事。大蔵省大臣官房総合政策課でマクロ経済分析を担当した後、2006年からNTTデータ経営研究所。経営コンサルタントとして金融政策の調査・分析に従事するほか、自治体の政策アドバイザーを務めるなど、地域公共政策も担う。著書に「金融機関のためのサイバーセキュリティとBCPの実務」「AIが変える2025年の銀行業務」など。

photo
簡単にテレワークを実現できないのが金融機関だ
(Photo/Getty Images)

パンデミック対策における3つの想定シナリオ

 前回に引き続き、「BCP(事業継続計画)」で定義される緊急時対応手続きを解説していく。BCPの重点対象リスクとなる「パンデミックリスク」については、従前であれば「強毒性新型インフルエンザの発生」を想定リスクとし、インフルエンザの発生場所を勘案して下記の図のようなA~Cの3つのシナリオを検討してきた。

 もちろん、パンデミックリスクで対応すべき感染症は、必ずしも新型インフルエンザとは限らない。流行中の新型コロナウィルスについても、同様の取扱いで問題ないはずだ。

 ここでは新型インフルエンザの流行を前提としたイメージを掲載しているが、国立感染症研究所や厚生労働省が定義する感染症の分類などを参考として取り上げ、とりわけ国内での感染・流行リスクが高い「強毒性感染症」の流行を想定する、と定義しておけばよいだろう。

画像
図1:パンデミックリスクの想定シナリオ
(出典:NTTデータ経営研究所作成)

 なお、弱毒性の新型感染症が流行する可能性もあるが、これまでの発生事例を考えると季節性インフルエンザと同等の被害に留まることが想定される。日本政府の対応方針をみても、強毒性感染症の対応指針とは異なる取扱いとされている。

 ちなみに、日本では従来から弱毒性新型インフルエンザ流行時における対処については「基本的対処方針」として別途対応手続きを設けてきた経緯がある。

 したがって、弱毒性感染症については「当行では弱毒性の新型感染症が発生した場合については、季節性インフルエンザの一般的な対応方針を準用することとする」といった定義が有効といえる。なお、想定シナリオに基づき、それぞれの場所で強毒性新型感染症が発生した場合には、以下のような被害が想定される。

画像
図2:パンデミック発生時の被害想定
(出典:NTTデータ経営研究所作成)

もし、自行の従業員が感染してしまったら……

 パンデミックリスクについては、海外や日本国内、あるいは県内における当行の営業店立地地域外において強毒性感染症が発生した場合において、「頭取がBCPの発動要否を決定する」として定義することが考えられる。

 他方、当行の営業店立地地域内において強毒性新型感染症が発生した場合には「BCPを自動的に発動する」といった自動発動基準を定義することも可能だ(図3)。

 なお、BCP発動の判断はテレビなどメディアによる報道や政府見解に基づき実施することとなる。ただし、BCPを発動する時は、その際の判断証跡を記録として残す必要があるだろう。

画像
図3:パンデミック発生時のBCP発動基準
(出典:NTTデータ経営研究所作成)

【次ページ】継続対象となる「必須業務」と「重要業務」の違い

お勧め記事

トピックス

IT導入支援情報

PR

ビジネス+IT 会員登録で、会員限定コンテンツやメルマガを購読可能、スペシャルセミナーにもご招待!