開閉ボタン
ユーザーメニュー
ユーザーメニューコンテンツ
ログイン
  • アプリはもう古い? WeChat「ミニプログラム」はなぜここまで広がったのか

  • 会員限定
  • 2020/07/08

アプリはもう古い? WeChat「ミニプログラム」はなぜここまで広がったのか

連載:中国イノベーション事情

中国の飲食店、小売企業などが続々とWeChatミニプログラムへの対応を進めている。ミニプログラムを使えば、新たにアカウント登録や決済方法の設定をしなくても、すぐに注文・決済ができるため、新規顧客を獲得できる優れたツールとして活用が進んでいるのだ。日本でもLINEが同様の試みを始めている。近年、中国のテック業界や小売業界で最も関心度の高いトピックである「ミニプログラム」の最新事情をレポートする。

ITジャーナリスト 牧野武文

ITジャーナリスト 牧野武文

消費者ビジネスの視点でIT技術を論じる記事を各種メディアに発表。近年は中国のIT技術に注目をしている。著書に『Googleの正体』(マイコミ新書)、『任天堂ノスタルジー』(角川新書)など。

画像
中国企業が続々と取り組む、WeChatミニプログラムは何がスゴイのか
(Photo/Getty Images)

中国では「スマホアプリ」から「ミニプログラム」へ

 中国では、スマートフォンアプリの時代が終わり、ミニプログラムの時代が始まろうとしている。ミニプログラムとは、2017年1月にテンセントがSNS「WeChat」に搭載した機能で、WeChat内からさまざまなプログラムを検索して、起動できるというものだ。

画像
典型的なWeChatミニプログラムの例。中国で人気の中国茶カフェ「喜茶」のもの
画像
各ミニプログラムは「名称で検索」「使用履歴」「ブックマーク」などの方法で見つけることができるが、テンセントは専用の2次元コードも開発している。このコードをWeChatでスキャンすると、目的のミニプログラムを直接起動できる
 たとえば、ケンタッキーのモバイルオーダー(店舗に行く前に注文と決済をしておく)をしたい時は、WeChatの「ミニプログラム」のコーナーから「ケンタッキー」を検索。検索結果に出てきたケンタッキーのミニプログラムをタップすると、モバイルオーダーの画面が現れる。

 スマホの位置情報を参照して、現在地から最も近い店舗の画面が自動的に表示される。注文をすると自動的にWeChatペイで決済されるので、店舗に着いたらスマホで注文票を見せれば、商品をすぐに受け取れる仕組みだ。

 一度使ったミニプログラムは、履歴に記録されるだけでなく、ブックマークをしておくこともできる。

 日本では、飲食チェーンなどが専用アプリをリリースし、クーポン券を配布したり、モバイルオーダーを可能にしたりするなどをして、顧客とのタッチポイントを増やすために取り組んでいる。

 一方、中国ではアプリよりミニプログラムの利点が多いため、会員登録と決済を必要とする「飲食店」「映画館、イベントの予約」「フードデリバリーなどの生活系サービス」では、ほとんどすべての企業がミニプログラムに対応しており、「アプリからミニプログラムへ」の流れが起きているのだ。

ミニプログラムの3つのメリット

 スマホアプリよりミニプログラムの方が有利な点は、3つある。

(1)インストール不要
WeChatの中から簡単に起動ができるため、アプリのように事前にインストールをしておく必要がない。

(2)アカウント登録不要
WeChatのアカウントを利用してミニプログラムにアクセスするため、アプリのように会員登録をしてもらう必要がない。

(3)決済方式設定不要
決済が必要な場合は、自動的にWeChatペイが利用されるため、事前にクレジットカードなどを登録、認証しておく必要がない。

 この3つは、裏を返せば、アプリでユーザーの離脱率を上げてしまうポイントにもなっている。せっかくアプリをインストールしてもらっても、クレジットカードの登録などが面倒で途中で登録作業をやめてしまうユーザーは、一定の割合で存在する。しかしミニプログラムの場合は、このようなことは起きない。

 ミニプログラムの利便性を最も実感するのは、街を歩いていて喉が渇いたときだ。「付近のミニプログラムを検索」を実行すると、現在地近くに店舗があるミニプログラムの一覧が表示される。そこからカフェを選んでモバイルオーダーをしておけば、店に到着したとき、すぐに喉を潤すことができる。決済も済んでいるので、飲み物を受け取るだけだ。

 しかも、初めて利用するカフェチェーンでも問題ない。アカウント登録、決済方式登録は不要なので、すぐに注文ができる。このような利便性から、ミニプログラムは新規顧客を獲得する効果が非常に高いツールになっている。

アリペイ、バイドゥ、中国版TikTokもミニプログラムに参入

 WeChatミニプログラムの成功を見て、翌2018年には、アリペイ、百度(バイドゥ)、中国版TikTokのドウインなどがミニプログラムに対応した。

 委託開発サービス企業「即速応用」の調査によると、ミニプログラムの数は、WeChatミニプログラムが236万件以上、アリペイミニプログラムが20万件以上、バイドゥミニプログラムが15万件以上となっている(2019年末時点)。

 WeChatミニプログラムは、WeChat内からアクセスできるウェブページのようなものだ。開発言語は「WXML/WXSS/Javascript」の3言語だが、これはウェブ開発に必要な「HTML/CSS/Javascript」とほぼ同じ。WeChat用にカスタマイズされたHTML/CSSが、WXML/WXSSと名付けられているにすぎない(WeChatの中国名WeiXinに由来)。

 そのため、ウェブ開発の経験があるエンジニアであれば、すぐにミニプログラムを開発できる。開発コストは、アプリに比べて半分程度になるという。

 また、飲食店や店舗ECなどの主要業種向けに、ミニプログラムの雛形プラットフォームを提供するサービスも増えている。このようなサービスを利用すれば、個人商店でも自分でカスタマイズしてミニプログラムを公開することが可能だ。

【次ページ】ミニプログラム唯一の欠点

お勧め記事

トピックス

IT導入支援情報

PR

ビジネス+IT 会員登録で、会員限定コンテンツやメルマガを購読可能、スペシャルセミナーにもご招待!