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  • 2020/07/22

コロナ下の1Q決算発表を読み解く、業績予想を修正する企業に“要注意”

【連載】井出真吾の「株式市場を読み解く」

まもなく、2020年度第1四半期(4月~6月)の決算発表が本格化する。例年であれば、第1四半期に業績予想を変更する企業は少ないが、新型コロナの影響が広がる今年はどうか。そして、年度末まで残り9カ月ある第1四半期の時点で、企業が業績予想を変更するということは、どのような意味を持つのか。

ニッセイ基礎研究所 上席研究員 チーフ株式ストラテジスト 井出 真吾

ニッセイ基礎研究所 上席研究員 チーフ株式ストラテジスト 井出 真吾

1970年生まれ。東京工業大学卒業。1993年日本生命保険相互会社入社、1999年(株)ニッセイ基礎研究所、2018年より現職。研究・専門分野は、株式市場・株式投資。主な著書に『ROEを超える企業価値創造(日本経済新聞出版社)』などがある。日本証券アナリスト協会検定会員、日本ファイナンス学会会員、1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)

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2020年度第1四半期(4月~6月)の決算発表が本格化する。例年であれば、第1四半期に業績予想を変更する企業は少ないが、新型コロナの影響が広がる今年はどうか
(Photo/Getty Images)
 

コロナ禍で今期の業績見通しを公表できた企業の数は……

 一般的に上場企業は前年度決算を発表する際に、今期の業績見通し(期初予想)も公表する。3月決算企業の場合、公表時期は4月後半から5月前半となる。

 ところが、今年は「コロナ禍の影響が見通せない」として、業績予想の公表を見送る企業が続出した。

 どれほど業績予想を公表した企業が少なかったかを確認できるデータがある。東証1部に上場する3月決算企業で、2015~2019年度には期初予想を公表している1,179社のうち、今年度(2020年度)の期初予想を公表した企業は、わずか45.3%(534社)に過ぎず(経常利益ベース)、前代未聞の事態となった。

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図表1:期初に業績予想を公表した企業は過半数割れ
(注)東証1部上場3月決算企業のうち、15~19年度に期初予想を公表した1,179社
(出所:QUICKより筆者作成)

なぜ1Q決算時点の「業績予想修正」が重要な意味を持つのか

 7月下旬には第1四半期(1Q)の決算発表が本格化する。その時点で最新の業績予想も発表されることになる。

 とはいえ、2019年までの5年間のデータを見ると、1Q決算発表時点では業績見通しを据え置く企業が大半であり、上方修正した企業は全体の3%程度、下方修正は2%程度と極端に少なかった(図表2左)。

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図表2:第1四半期時点で上方修正した企業の過半数が“2段階アップ”
(注)図表1と同じ1,179社、経常利益ベース
(出所:QUICKより筆者作成)

 これは、期初予想を公表してからわずか3カ月しか経過していない上、年度末まで残り9カ月間あることを考えれば当然だろう。逆に言えば、「残り9カ月あるのに見通しを修正した」ということでもある。

 実は、1Q決算時点での業績予想の修正は重要な意味を持つ。

 というのも、1Q決算時点で業績予想を上方修正した企業の53%が中間決算時点(約3カ月後)に再び見通しを引き上げ“業績2段階アップ”となったからだ(図表2右)。

 もし1Q決算時点で見通しを引き上げたにもかかわらず、中間決算時点で一転して下方修正となれば、上場企業の経営者としては格好がつかない。そればかりか、場合によっては経営手腕に疑問を突き付けられかねない。このような経営者の心理を考えると、1Q決算時点での上方修正は残り9カ月への“自信の表れ”と言えそうだ。

 一方、1Q決算時点で下方修正した企業のうち、34%は中間決算時点でも見通しを引き下げ“業績2段階ダウン”であった。残り9カ月での挽回を期して1Q時点では下方修正幅を限定的にしたものの、思ったほど挽回ならず中間決算時点で断念したのだろう。

 株式市場では、業績不振が囁かれる企業が見通しを引き下げると「悪材料出尽くし」などとして、その企業の株が買われることもある。しかし、実際は3社のうち1社は業績見通しがさらに悪化していることから、本当に悪材料が出尽くしているのかどうか、慎重な見極めが必要だ。

【次ページ】2Q決算以降、業績を上方修正しそうな企業を予想

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