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  • 2020/10/27

日本・米国・EUの金融政策を解説、理想的な選択をしているのはどこか?

【連載】エコノミスト藤代宏一の「金融政策徹底解剖」

数年前には常識破りとされていた「ゼロ金利」「量的緩和」「時間軸政策」(フォワードガイダンス)と呼ばれる金融政策だが、今やほぼすべての先進国の中央銀行が採用する一般的な政策となりつつある。こうした政策を最初に採用しはじめたのが、日本銀行(以下、日銀)だ。各国の金融政策のトップランナーとなった日銀は、はたして成果を上げることができているのだろうか。ここでは、日銀の成果を確認するとともに、デフレ脱却に悩む各国中央銀行に残された選択肢を考えたい。

第一生命経済研究所 経済調査部 主任エコノミスト 藤代宏一

第一生命経済研究所 経済調査部 主任エコノミスト 藤代宏一

2005年、第一生命保険入社。2008年、みずほ証券出向。2010年、第一生命経済研究所出向を経て、内閣府経済財政分析担当へ出向し、2年間「経済財政白書」の執筆、「月例経済報告」の作成を担当する。2012年に帰任し、その後第一生命保険より転籍。2015年4月より現職。2018年、参議院予算委員会調査室客員調査員を兼務。早稲田大学大学院経営管理研究科修了(MBA、ファイナンス専修)、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)。担当領域は、金融市場全般。

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デフレ脱却に悩む、日銀・FRB・ECBに残された選択肢を考える
(Photo/Getty Images)
 

「ゼロ金利」「量的緩和」「時間軸政策」が登場した背景

 まずは、日本銀行(以下、日銀)が「ゼロ金利」「量的緩和」「時間軸政策」(フォワードガイダンス)を採用した経緯を振り返りたい。1990年代後半、賃金と物価が持続的に下落するデフレが始まると、瞬く間に政策金利はゼロまで引き下げられ、日銀はいわゆるゼロ金利制約(中央銀行の金融政策による景気刺激の効果が発揮されにくくなる状況)に直面した。

 当時の金融の世界の常識では、「政策金利はマイナスにできない」との理解が一般的であったため、日銀は政策目標(日銀が操作する対象)を日銀当座預金残高に変更し、その残高を増加させる、いわゆる量的緩和策を導入したのだ。

 さらに量的緩和策を「消費者物価指数のインフレ率(前年比上昇率)が安定的にゼロ%以上となるまで続ける」という時間軸政策を導入した。これは1999年2月から4月にかけての政策変更である。

 その後、日銀はリーマンショック後のデフレ圧力に対処するため、ETF(上場投資信託)を通じた株式やREIT(不動産投資信託)の購入に踏み切るほか、イールドカーブコントロール(長短金利操作:短期金利の一部をマイナス0.1%、長期金利を0%程度に固定する)といった前例に捉われない政策を編み出し、現在これらすべての策を実施している。

 皮肉なことに、先進国で一番初めにデフレの脅威に直面した日銀は、金融緩和策の開発においてトップランナーとなったのだ。

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先進国で一番初めにデフレの脅威に直面した日銀は、金融緩和策の開発においてトップランナーとなった経緯がある
(Photo/Getty Images)
 

FRBとECBが「日銀化」した経緯

 他方、FRB(連邦準備理事制度)やECB(欧州中央銀行)は、リーマンショックやその後の景気低迷に対処するため、日銀が開発した政策を次々に採用し「日銀化」していった。日銀と同様に、ゼロ金利制約に直面したFRBやECBは金融市場から大量の国債を購入したほか、「〇〇までゼロ金利を継続する」といったフォワードガイダンス導入するなどして、金融緩和策を総動員した。


 その後、FRBはデフレの脅威を克服したこともあり、2018年までの約3年間は金融引き締め方向へ政策を傾けていた。しかし、コロナ危機に際して再びゼロ金利制約に直面すると、国債購入のみならず、ETFを通じた社債の購入に加え、中小企業向けに実質的な直接融資(メインストリート融資制度:MSLP)を実施するなど、前例のない政策を採用している。

【次ページ】新たな道を開拓したFRB、政策の中身とは

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