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- 2025/02/21 掲載
利上げ時代の投資戦略とは?「初心者が知っておくべき」日本市場の株価を読むコツ
【連載】エコノミスト藤代宏一の「金融政策徹底解剖」
2005年、第一生命保険入社。2008年、みずほ証券出向。2010年、第一生命経済研究所出向を経て、内閣府経済財政分析担当へ出向し、2年間「経済財政白書」の執筆、「月例経済報告」の作成を担当する。2012年に帰任し、その後第一生命保険より転籍。2015年4月より現職。2018年、参議院予算委員会調査室客員調査員を兼務。早稲田大学大学院経営管理研究科修了(MBA、ファイナンス専修)、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)。担当領域は、金融市場全般。
日本の長期金利が上昇している背景とは
2月中旬に日本の長期金利(10年)は1.4%近くまで上昇しています。去年の今時期、政策金利はマイナス0.1%、長期金利はイールドカーブコントロール(YCC)政策によって1%程度に抑えられていたことを踏まえると、隔世の感があります。現在、長期金利が上昇している基本的な背景としては、インフレ率が高止まりする中、それを横目に日銀が連続的に政策金利を引き上げていくと予想されていることがあります。OIS(Overnight Index Swap)という金利指標から判断すると、投資家は1年後に1%近傍まで政策金利が引き上げられることを前提にしつつあるようです。
筆者も、半年に一度程度の利上げが続き、2026年1月までに政策金利は1%に到達すると予想しています。またその後も日本経済が大きく崩れることがなければ、2027年1月までに1.5%に達する可能性もあると見ています。
金利とどう向き合うべきか
すでに金利は復活しつつありますが、今後さらに金利が上がる可能性があることを踏まえ、今回の記事では株式投資をするにあたって、金利とどう付き合っていったら良いのか考えてみます。結論を先取りすると、「金利上昇は株価の下落要因」であることを認識する必要があります。投資の指南書等では「金利が上がると株価は下がる」といった解説をよく目にしますが、これは言葉足らずというか断定的過ぎます。
また日々の相場などでも「FRBの利下げ観測が後退したことで金利が上昇し、ナスダックは続落…」といった解説が多くありますが、これはあくまで「昨日から今日にかけての変化」を説明するもので、中長期的に金利上昇・株価下落の関係が成立する訳ではありません。金利上昇は「株価下落要因」の1つであって、それが全てではないということです。
では、なぜ金利上昇が株価下落要因となるのでしょうか。それを理解するためには、まず「金利」が何を意味するのかを知る必要があります。
【次ページ】まず理解しておきたい「金利」の基礎
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