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- 2024/10/17 掲載
石破総裁誕生で揺れる金融市場、利上げはいつに?2025年の見通し
【連載】エコノミスト藤代宏一の「金融政策徹底解剖」
石破政権の誕生、日銀の金融政策にどう影響?
石破総裁はかねてより財性規律を重視するとともに、過度な金融緩和に否定的な見解を示していた。金融緩和の節度が失われることで、財政規律が弛(ゆる)み、日本経済に悪影響を及ぼしかねないとの懸念があったと見られる。総裁選においても「経済>財政再建」を主張する候補者が多かった中、石破総裁はこの姿勢を崩していなかった。そこにある種の「頑固さ」を感じていた市場参加者は多かったと見られる。
しかしながら、10月2日に石破総裁は「現在、追加利上げをするような環境にあるとは考えていない」と発言。3日になって石破総裁はその発言の真意が、9月の金融政策決定会合で「(利上げ時期を見極めるための)時間的余裕がある」との判断から、金融政策の現状維持を決めた日銀の決定に同意するというものであった、として修正を加えた。
この発言に対して、石破総裁の政策態度が軟化したと感じた市場参加者は多かっただろう。筆者も同様に受け止めており、石破総裁の「個性」によって金融政策が動く可能性は低いと見ている。
為替が「先」、金融政策が「後」
では、日銀の政策態度は何によって変わるのだろうか。それは、為替だ。端的に言えば、「円高なら利上げはしない(ハト派に傾斜)。円安なら利上げに動く(タカ派に傾斜)」といった具合に為替が先、金融政策が後にくる。実際、7月31日の利上げは7月中旬にドル円が160円を超えた直後のことであった。
8月7日に内田副総裁が「円安の修正は政策運営に影響する」、「金融市場が不安定な下で政策金利の引き上げはしない」としてハト派な見解を述べたのは、ドル円が140円台前半まで円高方向に推移した直後であった。
ドル円が140円割れを試す局面で向かえた9月の金融政策決定会合において、植田総裁は金融政策を見極める「時間的余裕」が増していると発言し、早急な追加の利上げに距離を置いた。これらの説明順序は「為替→金融政策」であり、当面、この構図に変化は見込まれない。
次に、為替状況以外で日銀が追加の利上げに動く理由はなんだろうか。そしてその時期はいつになるのだろうか。 【次ページ】日銀が追加の利上げに動く主因と2025年の見通し
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