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  • 2021/10/07 掲載

なぜりそなのDXはユーザーに歓迎されるのか、顧客中心で見据える「次世代店舗」とは

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経済産業省が、東京証券取引所の上場企業から、優れたデジタル活用の実績が表れている企業を選定する「DX銘柄」に2年連続で選出されるなど、銀行業界でDXを先行しているりそなホールディングス。南昌宏社長はデジタルトランスフォーメーション(DX)をどのようにとらえ、進めているのか。戦略に加え、具体的な取り組み事例や人材育成の考え方、りそなHDが見据える「次世代店舗」も紹介する。

聞き手、構成:編集部 山田 竜司 執筆:畑邊康浩

聞き手、構成:編集部 山田 竜司 執筆:畑邊康浩

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りそなホールディングス・南昌宏社長


2年連続DX銘柄に輝くりそなのDX戦術・テクノロジーの視点

──御社において、DXをどのように位置づけていますか。

南 昌宏氏(以下、南氏):DXについて我々がより重要視しているのは「デジタル」よりも、構造改革という意味での「トランスフォーメーション」の方にあると思っています。デジタルやデータを手段として活用しながら、いかに構造そのものを変えていくか。そんな中、目指していくものは3つあると考えています。

 「お客さまの顧客体験を変えること」「お客さまに新しい価値を提供すること」「我々のコスト構造そのものを変えること」、これらが三位一体となったものが我々の目指しているDXです。

 これは、中期経営計画で触れた既存領域の「深掘」にも、“脱・銀行”を目指す「挑戦」にも、それから経営基盤の再構築にも、DXの要素がふんだんに用いられるとご理解いただければと思います。

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ビジネス戦略と基盤の再構築(全体像)
(出典:りそなホールディングス)

──2020~2021年と2年連続で銀行として唯一、「DX銘柄」に選定されました。どのような取り組みが評価されたとお考えですか。

南氏:「対面以外のお客さま」も意識した取り組みが評価されたように認識しています。大きな取り組み自体が始まったのは4~5年前からで、当時はオムニチャネル戦略と言っていましたが、営業店を中心とした対面型のチャネルのほかに、もう1つ大きなチャネルを確立する必要があると考えていました。

 対面型で我々が能動的にお会いできるお客さまは全体の約10%だったため、非対面のチャネル、しかもそれがUI/UXに優れていてお客さまにいつもご利用いただけるような、データをしっかり取りながら双方向のコミュニケーションを図れるチャネルがどうしても必要だったのです。

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りそなデジタルバンキング戦略の全体像。「会えないお客さま」へこの4~5年取り組んできたという
(出典:りそなホールディングス)

 2018年2月にリリースした「りそなグループアプリ」は、現在までに約410万のお客さまのダウンロードがあり、80%のお客さまに継続して利用いただいています。また2020年6月にはめぶきフィナンシャルグループと連携させていただき、アプリケーション基盤の提供を通じて共同開発したアプリが、今年の3月に「常陽バンキングアプリ」「足利銀行アプリ」としてリリースされ、順調に立ち上がっています。また今年の8月には「京葉銀行」、9月には「百十四銀行」とバンキングアプリの共同開発を発表し、今後サービスの展開を開始する予定です。

 このように、オープンAPIのような形で地域金融機関のみなさま向けに環境を解放しています。「数が先、収益は後」と考えており、まずは接点を増やす方針ですが、ある程度の素地はできたと思います。DX銘柄ではこのような取り組みが評価されたのではないかと思っています。

──410万ユーザーなど大きな成果を出せたのは、どのようなことがポイントだったのでしょう。

南氏:外部任せにせず、内部で人財づくりに取り組んだことです。4年前のDXを推進できる人財がほとんどいない状態だった時と比べると、飛躍的に成長したと自負しています。

 我々は外部パートナーの方々と密に連携していますが、受注側に“委ねる”ようなことをせず、パートナーの方々と「こういうものを一緒につくりにいこう」という志を持ってやっています。そうした姿勢を4年貫いたことと我々の中の若い人たちの思いが重なったことがDXを推進できた背景にはあったと思います。

 そして、100%お客さまの側に立ち、そこに立脚して物事を考えること。この姿勢を経営陣が徹底することを忘れていたら、どこかに歪みが出たり、甘えや妥協が出たりしたことでしょう。知見も蓄積され、勢いもついてきましたので、この後は本丸の既存領域にDXが入って組織そのものの構造が変わっていくところまで、いかにスピード感を持って実行できるかが勝負の分かれ目です。

顧客志向の徹底から生まれる新たな「顧客体験」「価値」

──「100%お客さまの側に立つ」という顧客志向を実現しようという時、1番ポイントになったのはどのようなことでしたか。

南氏:やはりお客さまの声を聞くことに尽きます。直接お聞きするだけでなく、アプリのログデータを見て、お客さまがアプリを操作するうえで、どこで悩まれたか、なぜうまくいかなかったかを検証する。取扱説明書がない世界ですから、開発する方は「わかるだろう」と思っていても、お客さまにとっては言葉の意味がわからず、離脱してしまうことがあります。

 フェイス・トゥ・フェイスでは、お客さまの目を見て、どこが分からないのか、どこを説明するべきかについて、「七難を隠す」ことができるのですが、これがデジタルになったとたんに、「お客さまが操作をやめればそれで終わり」という世界になったことを認識する必要があるのです。

 そもそも、GAFAなどの企業が人々の日常生活の中へ提供したサービスのUI/UXが世の中の「当たり前」になった時から、従来のネットバンキングにおける振込や納税の手順が難しく感じられるようになりました。あらためてお客さまの側に立ち、どこで“こまりごと”が発生しているのか、どこでトラブルになるのかを突き止めるなど、ペインポイントを1つひとつ解消し、サービスの改善に努めてきました。

 また、対面型のコミュニケーションで成り立つビジネスも、実はそのオペレーションはデジタルのUI/UXを伴ったものが背景になっています。リアルとデジタルを融合させることで、たとえば今までお客さまに「説明してから手続きに1時間」だったものが、「説明しながらなら2分で終わる」というように、既存領域でも新しい顧客体験を提供することにつながっているのです。

 リアルのチャネルにもデジタルの力を活用し、お客さまにとっての選択肢を増やす──。それでいて、すべてのチャネルはシームレスにつながっていて、データとしても整合性がとれる。お客さまはどのチャネルを使ったとしても、非常に便利で簡単な世界観の中でサービスを受けられる。それが、オムニチャネルという世界だと思いますし、DXとして目指していく姿だろうと思います。

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【次ページ】バックヤードはなくなり「全員ソリューション」へ

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