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  • 2022/01/11

2022年は“激動”、フィンテックをめぐる「10大トレンド」 を解説

FINOLABコラム

コロナめぐる状況はいったん落ち着いたように思われたが、変異種の世界的拡大で新たな流行の兆しがみられることから予断を許さない。とはいえ、停滞していた経済活動の反動もみられ、金融テクノロジーにおいても新しい動きが予想され、前年の動きを振り返りながら2022年に注目すべきトレンド、「サステナブルな社会への対応」「組込み型金融の進展」「ブロックチェーンの新展開(NFT・DeFi・STO・デジタル通貨)」「決済ビジネスの構造変化」「BNPLの認知と利用拡大」「ポイント投資とリテール投資の裾野拡大」「DXの進展とリスキリング」「インシュアテックの躍進」「AML/CFTへの対応強化」「ゼロトラストセキュリティの普及」を概観したい。

FINOLAB Head of FINOLAB 柴田 誠

FINOLAB Head of FINOLAB 柴田 誠

FINOLAB設立とともに所長に就任。東大経済学部卒、東京銀行入行、池袋支店、オックスフォード大学留学(開発経済学修士取得)、経理部、名古屋支店、企画部を経て1998年より一貫して金融IT関連調査に従事。2018年三菱UFJ銀行からMUFGのイノベーション推進を担うJDDに移り、オックスフォード大学の客員研究員として渡英。日本のフィンテックコミュニティ育成に黎明期より関与、FINOVATORS創設にも参加。

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フィンテックをめぐる10大トレンドとは
(Photo/Getty Images)

サステナブルな社会への対応

 2021年からフィンテック分野でもSDGs(持続可能な開発目標)やESG(環境・社会・企業統治)が注目されるようになってきている。CO2排出量算出・可視化クラウドサービスを手掛けるゼロボードが三菱UFJ銀行との協業を開始したり、SDGsをAIで「可視化」するサステナブルラボや、「ESGアクセラレータープログラム」を開催するインクルージョンジャパンが注目されるなど、スタートアップ、大企業、VC、アクセラレータなどそれぞれの動きが活発になっている。

 こうしたブームとも言えるようなサステナブルな社会への関心が企業レベルの取組みから、2022年には個人の生活に浸透していくことが予想される。フィンテックスタートアップの提供するサービスも、既に顕在化している気候変動などの「環境(E)」のみならず、貧困、高齢化、少子化対策などの「社会(S)」や、企業統治や適性開示などの「ガバナンス(G)」にも拡がっていくだろう。

組込み型金融の進展

 2021年を代表するトレンドワードは「Embedded Finance(組込み型金融)」といっても過言ではない。これは主に非金融の生活サービスの業務アプリに金融機能を組込むことでより高付加価値なサービスを創出する取組みを指す。国内事例としては住信SBIネット銀行の「ネオバンク」が良く知られ、既にJAL、Tマネー、ヤマダファイナンスの事例が公表されている。

 また、2021年5月に開業したみんなの銀行はBaaS(Banking as a Service)に精力的に取り組んでいくことを宣言している。されに、三菱UFJ銀行とNTTドコモが手を組んでデジタル金融サービスを展開することが2021年5月に発表されているが、具体的なサービスは2022年に開始が予定され、どのようなメニューとなるかが注目される。

 また、2021年12月に株式公開をはたしたFinatext、ロボアドバイザーを「4Rap」としてサービス化したFOLIO、各種決済機能の組込みを可能にするインフキュリオン、インシュアテックの旗手として注目されるjustIncase、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)にPFM(個人資産管理)アプリ「Mable」を提供しているマネーツリーなど、金融機能の組込みを可能にするソリューションを提供するフィンテック企業も多く出現しており、2022年にはさらに増大するものと考えられる。

ブロックチェーンの新展開(NFT・DeFi・STO・デジタル通貨)

 NFT(Non Fungible Token)についてはAxie Infinityを代表とするゲームでの利用を中心として、デジタルアートや音楽などの世界で利用されるようになっており、暗号資産との交換や法定通貨での支払いによる価値交換の機会も増えてきていることから、NFT取引に関する規制が必要との声が出るようになっている。

 2021年2月には業界団体として一般社団法人DeFi協会が設立され、「分散型金融(DeFi)」に関する関心が高まってきた。とはいえ、その定義や規制についてはまだ明確になっていない点も多く、2021年11月に金融庁が発表した「デジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会」の中間論点整理においても、デジタル通貨の類型整理が中心となっており、DeFiについての議論が充分にカバーされていなかったことから、今後詳細についての議論が進むものと予想される。

 STOについては、2021年7月に三菱UFJ信託銀行、ケネディクス、野村證券、SBI証券による公募案件についての協業が発表されるなど、大手金融機関による取組みが本格化し始めているが、具体的な案件については2022年に拡大することが期待される。

 デジタル通貨に関連しては2020年から2021年にかけて中央銀行デジタル通貨(CBDC)の議論が盛り上がっており、世界中の中央銀行によるプロジェクトが発表されている。特に中国による「デジタル人民元」が注目されており、国内各都市での大規模なテスト利用を経て、2022年の北京五輪実施に際しては本格的に利用されるものとみられている。CBDCへの関心の高まりに呼応して、ステーブルコインの位置付けや規制についての議論が進んでおり、今後は国をまたいで利用されるグローバルステーブルコインに関する国際協調による規制が進むものと考えられる。

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北京市内の大手銀行の現金自動受払機(ATM)。左上に「数字人民元(デジタル人民元)」が使用できることが表示されている。大都市ではデジタル人民元に対応する店舗が増えている
(写真:毎日新聞社/アフロ)

決済ビジネスの構造変化

 2021年10月から全銀システムの銀行間振込手数料が引き下げられ、各行が顧客に提示する手数料金額にも多少ではあるが差が出るようになった。これは40年以上料率が変更されず、各行が一律に手数料を設定してきたことからみると大きな変化である。

 また、少額決済の領域では、資金移動業者による様々なサービス参入に対抗すべく、メガバンク3行ととりそな銀行と埼玉りそな銀行の5行が一緒になって、J-Debitのインフラを活用して開発を進めている「ことら」が2022年上期にはサービス開始を予定しており、携帯電話番号やメールアドレスを活用した少額送金が低コストで実現する予定である。これによって、硬直的であった銀行口座間の資金移動についても全体的にコストが下がり、利用者の利便性が向上することが期待される。

 さらに、2021年12月にフィンテックスタートアップのKyashが法人向け送金サービスに参入を表明したように、これまで個人向けに拡大してきた既存銀行サービスへの挑戦が、2022年以降は法人向けにも拡大していくことも、大きな構造変化につながるトレンドと言えよう。

BNPLの認知と利用拡大

 9月にはPaidyを米PayPalが3,000億円で買収、12月には業界首位のネットプロテクションズがIPOを果たしたこともあり、ECや店頭で購入した商品を後で支払うサービスとしてBNPL(Buy-Now-Pay-Later)が2021年には注目を浴びた。購入のたびに個別に与信審査が行われ、利用金額の上限が数万円程度と低めに設定されていることなどがクレジットカードと異なっており、返済方法は2カ月以内の一括払いが基本となっている。

 もともと欧米諸国ではリボ払いが主流であるクレジットカードに対する低コストの代替決済手段として拡大しており、スウェーデン発のクラーナ(Klarna)、米国のアファーム(Affirm)、豪州アフターペイ(Afterpay)などが有名であるが、国内では、クレジット払いよりも現金や代引きなどの代替として利用が拡大した面がある。国内取扱高は1兆円程度といわれ、クレジットカードと比べると小規模であるが、導入店舗側では売上拡大に役立つ決済手段という認識も広がってあり、2022年には利用が拡大するものと予想される。

【次ページ】ポイント投資とリテール投資の裾野拡大

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