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  • 2022/07/20 掲載

イオンフィナンシャルサービス社長に聞く、アジアの金融DXが「はるか先」を行く理由

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イオンカードを中心に国内で幅広い金融事業を展開するとともに、香港やタイ、マレーシアなどアジア各国でも長らく金融事業を営んできたイオンフィナンシャルサービス。デジタル分野において今や「日本の先を行く」これらの国々での事業を通じて、先進的なデジタル金融サービスの開発・提供にまい進する同社の事業戦略について、代表取締役社長の藤田 健二氏に話を聞いた。

聞き手、構成:編集部 山田 竜司 執筆:吉村 哲樹

聞き手、構成:編集部 山田 竜司 執筆:吉村 哲樹

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イオンフィナンシャルサービス
代表取締役社長
藤田健二氏

多様な金融サービスの提供を通じ「イオン生活圏」を目指す

 イオンフィナンシャルサービスは日本を含むアジア11カ国・地域において多様な金融事業を展開する、連結子会社および持分法適用関連会社で構成される「小売業発の総合金融グループ」です。

 日本国内においてはイオンカードを中心に、クレジットカード事業や銀行業、保険事業などを展開しています。一方近年では、事業全体の中で占める海外ビジネスの割合が年々高くなっており、利益の約4割を海外ビジネスが占めています。そして2025年には、この比率は逆転し、海外比率は6割になる見込みです。

 弊社の海外ビジネスの歴史は長く、1980年代から香港やタイ、マレーシアといったアジア諸国に進出しており、現地で上場も果たしてすっかり根を下ろしています。こうした国々は経済発展も著しく、社会・経済の状況が急スピードで変化しているため、弊社もそれにいち早く対応すべく現在ビジネスモデルの変革に取り組んでいます。

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イオンフィナンシャルサービスグループ
(出典:イオンフィナンシャルサービス)


 2021年度からスタートした中期経営計画では「第二の創業:バリューチェーンの革新とネットワークの創造」という基本方針の下、これまで「分権」「自主独立」を掲げてきたイオングループ各社の力を改めて結集し「お客さまID」を軸にすることで、地域に根差した「イオン生活圏」を構築することを目指しています。弊社はその中でも金融事業を担う企業として、決済サービスやイオンカード、電子マネー「WAON」などの事業を通じてイオン生活圏の拡充に貢献していきたいと考えています。

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これからの「顧客アプロ―チ」「ビジネスモデル」
(出典:イオンフィナンシャルサービス)


 海外事業においても同様の取り組みを推し進めるとともに、現在アジア各国で高まっている「デジタル金融包摂(デジタルを介し誰もが金融サービスにアクセスできること)」のニーズに応えるべく、スマートフォンアプリをはじめとするデジタルチャネルを通じた商品・サービスの強化を急ピッチで進めています。

リアル店舗の顧客接点から集めたデータを有効活用

 日本国内において、デジタル施策の強化には特に力を入れています。イオングループは、全国に展開する数多くリアル店舗の顧客接点を通じて膨大な量の決済データや購買データ、またそれらに紐づく個人の属性データなどを収集・蓄積しています。

 こうしたデータを分析することでお客さまのライフスタイルやライフステージを可視化し、それに基づきより価値の高い商品・サービスをレコメンドできるようになります。またイオングループが提供するさまざまな商品・サービスに、弊社が提供する保険商品を埋め込む「埋込型保険」を提供するビジネスモデルも現在検討しています。

 このように、グループ内のさまざまな事業と弊社の金融事業を融合させることで、お客さまの暮らしに溶け込んだ利便性の高い金融サービスを提供していきたいと考えています。そのためには、イオングループが全体でデータを一元的に管理してIDを軸に有効活用する仕組みが不可欠ですが、弊社は決済をはじめとする金融サービスを通じて、事業横断型のデータインフラを提供できるのではないかと考えています。

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お客さまID
(出典:イオンフィナンシャルサービス)

 ただし現在イオングループの企業は約300社あるため、まとめ上げていくには少し時間がかかりそうです。その点海外は事業の規模も比較的小さく、関係する会社の数も比較的少ないので、国内と比べるとスピーディーに施策を進められそうです。

「サステナブル経営」に舵を切る決断をしたワケ

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 私自身は2020年6月に弊社の代表取締役社長に就任しましたが、その前はタイの現地法人の社長を務めていました。タイだけでなくアジア全域でコロナ禍や異常気象などを経て、市井の人たちの行動が「環境や健康」に向いていることを実感し、サステナブル経営の方向に舵を切りました。

 ファイナンスに関しても、一般の中古車への融資などを手掛けていたのですが、EVなど電動車でないと価値が付かなくなる可能性があることを考慮していきたいと考えています。

 「変化対応」という点で、企業も市井の人もアジアと国内では明らかにスピードが違います。平均年齢も違いますしある意味では仕方ないのかもしれません。日本の中だけにいるとどうしても感覚が違うのですが、アジア全体の視点から今必ず変えねばならないという潮流が「デジタル」「サステナブル」、そして「ESG」でした。

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ビジネスモデルの変革・3つの柱
(出典:イオンフィナンシャルサービス)

【次ページ】アジア諸国のデジタル金融サービスが日本のはるか先を行く理由

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