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  • 2026/04/29 掲載

デジタル証券市場の次なる成長を切り拓く「ソニー銀行」独自の勝算

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ソニー銀行の「web3金融」の戦略は、実に多岐にわたっている。不動産中心の市場に一石を投じる「エンタメIPのデジタル証券化(STO)」や、web3コンサル子会社「BlockBloom」の始動、さらには米ドル建てステーブルコインの発行を見据えた米国での子会社設立準備まで、矢継ぎ早に次世代への布石を打っている。メガバンクや既存の金融機関がひしめく中で、なぜ同社はこれほどまでに「web3金融」に本気なのか。 ソニー銀行デジタルアセット事業部フェローの金森伽野氏とデジタルアセット事業部長の中川大輔氏のインタビューから、既存の銀行の常識を覆す「次世代リテール金融」の未来図と、その裏に秘められた“勝算”に迫る。
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Borderless Digital Banking for more “Fun”
(後ほど詳しく解説します)

なぜ「不動産」ではなく「エンタメ」? ソニー銀行が描くデジタル証券の可能性

 近年、現実資産(RWA)のトークン化が海外で急速に拡大する中、ソニー銀行は国内においてデジタル証券(ST:セキュリティトークン)分野へ積極的に取り組んでいる。STは、発行から管理、流通までのプロセスを効率化し、これまで投資機会が限定的だった資産へのアクセスを広げる役割を担っている。

 日本国内の多くの金融機関が土地・建物といった不動産を中心に事業を展開しているのに対して、ソニー銀行は独自の戦略を掲げている。将来的なデジタル証券の可能性について、ソニー銀行デジタルアセット事業部長の中川大輔氏はこう語る。

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ソニー銀行
デジタルアセット事業部長
中川大輔氏
「デジタル証券は、既存の金融市場を補完する形で、今後も着実に成長していく有望な市場だと捉えています。しかし、現在の国内ST市場を見渡すと、その裏付け資産の大半は不動産関連です。この状況に一石を投じ、エンタテインメント領域の資産をデジタル証券の世界へ滑らかにつなぐことこそが、当社が発揮すべき独自の役割であり、市場の多様化をけん引する力になると考えています」(中川氏)

 ソニー銀行では、デジタル証券のロードマップを作成して、着実に実行してきている。「ステップ1」でST化のノウハウを蓄積し、「ステップ2」で、次の展開を見据えて“外貨建て”ST化ノウハウを蓄積している。そして「ステップ3」では、ソニーグループとの協働による「エンタテインメントのIP・著作権などに関連する商品の組成」を進めている。この構想について、中川氏はこう語る。

「現在、ST市場の主流である不動産は、実物資産としての価値や安定した収益構造、法制度との親和性の高さが評価されています。当社は、エンタメ領域の無形資産(コンテンツやサービスから生まれる収益や価値)についても、不動産と同様に明確な『裏付けとなる権利構造』と『収益構造』を持つ有力な資産であると捉えています。ソニーグループの多様なエンタメ領域の強みを生かし、新たなデジタル証券のユースケースを創出していく方針です」(中川氏)

 その一環として、2026年1月30日のプレスリリースにおいて、シンガポールの政府系投資ファンド・GICと米ソニー・ミュージックグループによる、音楽カタログの取得を目的とした新たな投資パートナーシップに、ソニー銀行も参画することが発表された。こうした動きは、資産としての音楽カタログの可能性を広げていく第1歩だろう。

デジタル資産×ステーブルコインで何が変わる? 次世代インフラの未来と課題

 セキュリティトークンとステーブルコインとは極めて親和性が高い組み合わせである。ステーブルコインによって即時決済が可能になると、最終的には、ほとんどの手続きが自動化される未来が考えられそうだ。STやNFTといったデジタル資産と、ステーブルコインの組み合わせについては、将来的な展開として前向きに検討していく方針であると、中川氏は説明した。

「ステーブルコインは、デジタル資産を市場で滑らかに流通させるための『決済・資金循環の基盤』として機能するため、両者の親和性は高いと評価しています。当社が目指すweb3金融の全体構想における実装への優先順位を見極めながら、デジタル資産とステーブルコインがシームレスに連動するエコシステムを段階的に組み上げていく考えです」(中川氏)

 デジタル資産とステーブルコインのシームレスな連動という構想を実現するためには、現実的な課題も存在している。ソニー銀行デジタルアセット事業部フェローの金森伽野氏はこう指摘する。

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ソニー銀行
デジタルアセット事業部フェロー
金森伽野氏
「システム基盤の構築に加え、関連する法規制への対応など、市場全体で1つひとつクリアしていくべきハードルが残されています。しかし、環境整備が着実に進むことで、将来的にはブロックチェーン上のトークン化された資産が、現金と同等の価値を持つステーブルコインでスムーズかつ安全に取引される世界が訪れると予測しています。当社としては、そのような次世代の金融の姿を中長期的なビジョンとして描き、歩みを進めています」(金森氏)

 web3金融の登場によって、金融業界全体の構造も変化していくことが予想される。セキュリティトークンやデジタル証券に取り組むことによって、ソニー銀行の役割に変化をもたらしたところはあるのだろうか。金森氏はこう説明する。

「お客さまの視点から見た最大のメリットは、『投資商品の多様化』に大きく貢献できる点です。従来の投資信託などとは異なる、新しい形の投資商品を提供することで、選択肢の幅が飛躍的に広がります。現在、国内のデジタル証券(ST)市場における裏付け資産の9割以上は不動産が占めています。しかし今後、当社の取り組みを通じて不動産以外の多様なアセットクラスが市場に展開されていけば、お客さまの投資手法はさらに多角化するでしょう」(金森氏)

 その結果、ソニー銀行のこうした取り組みは、単なる新商品の追加にとどまらず、顧客の「資産運用」の体験やあり方そのものを大きく変革し、拡張していくものとして期待されている。

 だが、こうした次世代の金融体験を広げていく上で、避けて通れないのが「既存の金融システムとweb3の接続」という極めて困難な技術的・制度的な壁だ。ソニー銀行は、この“水と油”とも言える領域をいかにしてシームレスにつなぎ合わせようとしているのだろうか。 【次ページ】「既存システム×web3」の接続は困難? ソニー銀行が挑む“シームレスな体験”の裏側
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