• 2026/04/20 掲載

NVIDIA、量子コンピューティングのオープンAIモデル「Ising」を発表

量子計算の最大の障壁「ノイズ問題」を、AIによって補正

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米NVIDIAは2026年4月14日、量子コンピュータの実用化に向けたオープンソースのAIモデルファミリー「NVIDIA Ising」を発表した。量子計算における最大の障壁となっているノイズ問題に対し、機器の調整や誤り訂正をAIによって自動化する。数日を要していた調整作業を数時間以下に短縮し、開発を大幅に加速する基盤として提供する。
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(Photo/Shutterstock.com/jamesonwu1972)
 NVIDIAが発表した「NVIDIA Ising」は、量子コンピュータを安定稼働させるための制御システムとして機能するAIモデル群である。Apache 2.0ライセンスの下、GitHubなどの開発プラットフォームでオープンソースとして公開された。開発の目的は、量子ビットが環境からのノイズに極めて弱く、計算状態が壊れやすいという課題の解決にある。これまでハードウェアの物理的な集積化に焦点が当たっていた量子計算の分野に対し、AIを制御プレーンとして組み込む新たな手法を提示した。

 同モデルファミリーは、主に「Ising Calibration」と「Ising Decoding」の2つの技術で構成される。Ising Calibrationは約350億パラメータを持つビジョン言語モデル(VLM)であり、量子実験の測定データや波形グラフの画像を直接読み取る。ノイズによるズレを解析し、最適な調整パラメータを自律的に判断して実行する仕組みを持つ。専門家が目視でデータを分析し、数日かけて行っていたキャリブレーション(事前調整)作業を数時間以下に短縮する。

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【図版付き記事はこちら】NVIDIAが量子コンピューティングのオープンAIモデル「Ising」公開「(図版:ビジネス+IT)

 もう一方のIsing Decodingは、3D畳み込みニューラルネットワーク(3D CNN)を用いて開発された。量子計算の実行中に発生するエラーのパターンをリアルタイムで認識し、訂正する役割を担う。物理的な量子ビットから、論理的に安定した状態を保つための誤り訂正プロセスを高速化する。

 名称は、複雑な物理システムの理解を簡略化した1920年代の「イジング模型」に由来する。既存のGPUを活用して組合せ最適化問題を直接解く「GPUアイジングマシン」とは異なり、Isingは実際の量子プロセッサを稼働させるためのAIソフトウェアである。

 この発表を受け、市場ではIonQをはじめとする米国市場の量子コンピューティング関連銘柄の株価が急上昇した。NVIDIAのジェンスン・フアンCEOは、AIが量子コンピューティングを実用的なものにするための鍵であると位置づけている。AIを単なる補助ツールではなく、量子ハードウェア運用の中心的なオペレーティングシステムとして機能させることで、量子計算の産業化に向けた環境が整備された。

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