• 2026/06/12 掲載

デル、HPE好決算の裏で…AIサーバ特需に潜む「売れても安心できない理由」とは(2/2)

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日本の富士通やNECの勝ち筋は何が違うか?

 AIサーバ市場で名前が挙がる米国勢は、同じサーバ会社でも勝ち方が異なる。

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米国勢と日本勢で異なるAIサーバ市場の勝ち筋と収益機会

 デルは、PCからサーバ、ストレージまでを扱う総合力が強みだ。大口顧客を抱え、AIサーバだけでなく、周辺のストレージや保守、企業向けIT基盤まで広く提案できる。直近決算でインフラストラクチャー部門の売上が大きく伸びた一方、PC事業も17%増収だった。AIだけに依存しない事業の厚みがある。

 HPEは、企業IT基盤との接続力が特色だ。サーバ、ストレージ、ネットワーク、ハイブリッドクラウドを組み合わせ、企業の既存システムにAI環境を組み込む提案がしやすい。AI需要に加え、ジュニパーネットワークス買収によるネットワーク事業の拡大も決算を押し上げた。

 スーパー・マイクロは、スピードとカスタム対応力で存在感を高めてきた。高密度GPUサーバや液冷対応など、AIデータセンター向けの製品を素早く投入することで、クラウド事業者やAI関連企業の需要を取り込む。売上変動は大きいが、成長市場への感応度は高い。

 一方、日本の富士通とNECは、米国勢と同じ「箱売り」の土俵で語ると実態を見誤る。両社の強みは、国内企業や官公庁の業務システムを理解し、AIを実際の業務に組み込む力にある。サーバを大量に製造して世界のデータセンターに納める競争では、規模や顧客基盤で米国勢に分がある。

 ただし、日本勢に勝ち筋がないわけではない。日本企業が生成AIを本格利用する際、課題になるのはGPUサーバの購入だけではない。既存システムとの接続、セキュリティ、個人情報や機密情報の取り扱い、運用保守、現場への定着が問われる。ここではSIや運用に強い国内勢の役割が残る。

 AIサーバ市場を比較する際は、売上高だけでなく、どの顧客に、何を、どこまで提供しているかを見る必要がある。デル、HPE、スーパー・マイクロはAIインフラの供給力で競う。富士通、NECは、国内顧客の業務にAIを組み込む実装力で戦う。

 同じAIサーバ関連企業でも、収益機会の場所は違う。そこを分けて見なければ、比較記事としての解像度は上がらない。

AI時代に本当に強いサーバ会社の4つの条件

 AIサーバ特需は、しばらく続く可能性が高い。大規模言語モデルの学習に加え、利用者の質問にモデルが回答する推論処理が増えれば、必要な計算資源はさらに広がる。企業が生成AIを業務に組み込めば、データセンター、サーバ、ストレージ、ネットワーク、冷却設備への投資は連鎖的に増える。

 ただし、今の伸びがそのまま各社の利益になるとは限らない。AIサーバで本当に強い会社を見極めるには、少なくとも4つの指標が必要だ。


 第1に、受注残である。デルのAIサーバ受注残は513億ドル、HPEのAIシステム受注残は59億ドルと報じられている。受注残は将来売上の手掛かりになる一方、顧客都合の遅れや仕様変更で計上時期が変わるリスクもある。

 第2に、粗利率である。AIサーバは高額部材の比率が高い。GPUを多く積めば売上は増えるが、部材価格の上昇を販売価格に転嫁できなければ利益は残りにくい。スーパー・マイクロの粗利率改善が市場で好感されたのは、この市場で採算が重要な論点になっているためだ。

 第3に、顧客基盤である。大口クラウド企業に大量納入できる力は強みだが、特定顧客への依存が高まれば、発注時期や仕様変更の影響を受けやすくなる。企業、官公庁、通信、製造、金融など、需要の幅をどこまで持てるかが安定性を左右する。

 第4に、サーバ単体を超えた提案力である。AI導入はGPUサーバを買えば終わる話ではない。モデルの運用、データ管理、セキュリティ、電力、冷却、保守まで含む。HPEがネットワークやハイブリッドクラウドを含めて訴求するのも、デルがサーバ、PC、ストレージを束ねるのも、このためだ。

 日本勢を見る際も同じである。富士通やNECは世界のAIサーバ量産競争では目立ちにくい。しかし、国内企業の基幹システム、官公庁、金融、製造業の現場にAIを入れる局面では、サーバそのものより導入・運用の比重が高まる。

 AI時代に本当に強い会社は、最も派手に売上を伸ばす会社とは限らない。需要を取り込み、部材を確保し、納期を守り、利益率を維持し、顧客の業務にAIを根付かせる会社である。AIサーバ特需の次に問われるのは、成長率ではなく、利益を残す力だ。

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