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- 2021/10/15 掲載
Azureの代表的なPaaSは何か? Webアプリホスティング環境を一覧でまとめる
Azure黎明期からのサービスの完全引退に向けて
2010年1月に正式にサービスをスタートしたとき、PaaSとして「クラウドサービス」とそれに紐づいた「Webロール」および「Workerロール」が提供されました。すぐに、IaaS対応としてVMロールが追加されました。VMロールはその後、「Azure仮想マシン」に置き換えられましたが、WebロールやWokerロール用のクラウドサービスは現在でも継続して提供されています。
これらの古いサービスは、「Azure Service Management(ASM)」という古いデプロイモデルを使用します。これらの一部の古いサービスを除いて、現在のAzureのほとんどのサービスは、「Azure Resource Manager(ARM)」というデプロイモデルに移行しています。ARMに基づいたAzure仮想マシンに対して、ASMに基づいたものを「Azure仮想マシン(クラシック)」と呼びます。
マイクロソフトは2020年2月、「Azure仮想マシン(クラシック)」の提供を3年後の2023年3月1日をもって廃止することを発表しました。また、2021年8月には、「クラウドサービス」の提供を新規の利用に対して非推奨とし、3年後の2024年8月31日に廃止することを発表しました。
クラウドサービスは現在でも新規に作成することはできますが、「クラウドサービス(クラシック)」として作成されます(画面1)。また、ASMからARMへの移行を支援するために、ARMベースのクラウドサービスとして「クラウドサービス(延長サポート)」が用意されています。
つまり、2024年までに初期のPaaSおよびIaaSと互換性のあるサービスは完全に廃止されることになります。Azureポータルに「クラウドサービス(クラシック)」や「仮想マシン(クラシック)」のリソースが存在する場合は、余裕を持ってAzureリソースマネージャ(ARM)デプロイモデルのサービスに移行してください。
2023 年 3 月 1 日までに IaaS リソースを Azure Resource Manager に移行する
Webサイト/アプリのためのホスティング向けサービス一覧
Microsoft Azureは誰も正確に把握していないのではないかと思うほどの数のサービスメニューが用意されています。たとえば、インターネットで公開するサービスとして、独自のWebサイトやWebアプリをホスティングしたいという場合、PaaSとしては今何が利用できるのでしょうか。
「Azure Stack Hub」(Azureと一貫性のあるプライベートクラウドの統合システム)と東日本/西日本リージョンでの利用可能性や、無料プランの有無を含めて、表1にまとめてみました。このほかにも、モバイルアプリやIoT(モノのインターネット)に特化したサービスがありますが、話が複雑になるため省略します。
サービス | Azure Stack Hub | 東日本リージョン | 西日本リージョン | 備考 |
Azure Web Apps(Windows/Linuxオペレーティングシステム) | 〇 | 〇 | 〇 | 開発/テスト用の無料プラン(F1)あり |
Azure Web Apps(Linux コンテナ) | 〇 | 〇 | 〇 | 開発/テスト用の無料プラン(F1)あり |
Azure Web Apps(Windows コンテナ) | 〇 | 〇 | × | Premium V3 P1V3以上のプランが必要 |
Azure Static Web Apps(静的なWebアプリ) | × | × | × | 趣味または個人的なプロジェクト用の無料プラン(Fee)あり、東アジアおよび米国の一部で利用可能 |
ストレージアカウント(静的なWebサイト) | 〇 | 〇 | 〇 | Standard(汎用V2)、Premium(ブロックBLOB)で追加コストなしで利用可能 |
Azure Container Instances(ACI) | × | 〇 | 〇 | 無料プラン無し |
Azure Kubernetes Service(AKS) | プレビュー段階 | 〇 | 〇 | 無料プラン無し。Azure Stack HCI 向けの AKS on Azure Stack HCI は2021年5月に一般提供開始(7月から課金開始) |
リージョン別の利用可能な製品をもとに著者作成 |
【次ページ】コンテナ技術に基づいたアプリのデプロイ環境が発展
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