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- 2026/07/20 06:50 掲載
旧パナ工場が大化け?GPUより足りないタワーセミコンダクター「6000億円計画」の全貌
6,000億円計画の狙いはGPUではなかった
イスラエルの半導体受託製造会社タワーセミコンダクターは2026年7月14日、日本でシリコンフォトニクス(SiPho)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、先端光パッケージングの研究開発・生産能力を拡張すると発表した。富山県魚津市と新潟県妙高市を舞台とする総事業規模6,000億円超の大型計画である。日本政府は最大約1,600億円を支援する。半導体の巨額投資と聞けば、回路の線幅を細くする先端ロジックや、AIの計算を担うGPUを思い浮かべる人が多いだろう。ところが、今回の主役は演算チップではない。大量のGPUやサーバを高速かつ省電力でつなぎ、膨大なデータを運ぶ「光の通り道」である。
経済産業省の認定計画によると、300mmウエハー換算の生産能力はSiPhoが月1万6000枚、SiGeが月2000枚。供給開始はそれぞれ2027年5月と同年9月を予定し、10年以上の継続生産を掲げる。必要資金は約6,000億円で、助成額は最大約1,600億円。総事業規模に対する公的支援は3割弱となる。
重要なのは、政府がこれらを「従来型半導体」に分類しながら、経済安全保障上の重要物資として支援する点だ。最先端の線幅ではなくても、代替企業が少なく、AIインフラの性能や安定稼働を左右する。今回の6,000億円計画は、日本の半導体政策が「最先端チップを作る競争」から、「AIを動かす供給網を押さえる競争」へ広がったことを映している。
AIデータセンターを止める「電気配線の壁」
なぜ、光半導体がそれほど重要になるのか。AIデータセンターでは、多数のGPUが同時にデータをやり取りする。GPU単体の計算性能が高くても、GPU間やサーバ間の通信が詰まれば、設備全体の能力を引き出せない。さらに、電気信号を高速で長い距離へ送るほど、消費電力や発熱、信号劣化の問題が重くなる。シリコンフォトニクスは、シリコン半導体の製造技術を使って、光を導く回路や変調器などを集積する技術だ。電気信号だけに頼らず、チップの近くから光で情報を運べるため、大容量通信と省電力化を両立しやすい。一方、SiGeはシリコンにゲルマニウムを組み合わせ、高速ネットワークに必要な高周波・低ノイズのアナログ回路を作る技術である。タワーはSiPhoとSiGeをそろえることで、光を扱う部分と、それを電気的に制御する部分の双方を提供する。
エヌビディアも光への移行を急ぐ。同社は光部品をスイッチ用半導体の近くに組み込むCPO(コパッケージド・オプティクス)について、着脱式の光トランシーバーと比べて電力効率を5倍に改善できると説明する。エヌビディアの主張に基づく数字ではあるが、GPUの増設だけでは大規模なAI基盤を維持できないことを端的に示す。
タワーは2026年2月、エヌビディア向けの1.6T光モジュールに対応するSiPho技術を発表した。従来の同社技術に比べて最大2倍のデータレートを実現するという。GPUメーカーが処理能力を引き上げるほど、その周囲でデータを運ぶ光半導体の性能も高めなければならない。AI特需の焦点が、演算から接続へ移り始めた格好だ。
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