- 2026/06/26 掲載
粗利率75%の衝撃…エヌビディア「受注残1兆ドル」が突きつける“残酷な生存競争”
慶應義塾大学 大学院管理工学にて修士課程を修了。
1985年東京エレクトロン入社。1996年から2004年までABNアムロ証券、リーマンブラザーズ証券などで産業エレクトロニクス分野のアナリストを務めた後、富士通に転職、半導体部門の経営戦略に従事。2010年よりIHS Markitで、半導体をはじめとしたエレクトロニクス分野全般の調査・分析を担当。2017年9月に同社を退社し、同年10月からコンサルティング会社Grossberg合同会社に専任。
エヌビディア決算「上振れ要因」はどこにある?
公表されたエヌビディアの2027年第1四半期決算は、売上高が過去最高の816億ドルとなり市場予想を上回る好決算だった。この上振れの要因については主にHBMの供給増の要因が大きい、と筆者は見ている。
これまでエヌビディアの売上のボトルネックは、受注残をはるかに下回る供給体制にあり、HBMの供給量か、CoWoSの製造能力(歩留まりを含む)か、と指摘されてきた。そのどちらも四半期ごとに増強されているため、エヌビディアの売上は四半期ごとにほぼ規則正しく伸びている。
また、今回の決算で売上が会社計画を上回ったことは、同社の想定よりもHBMの供給量が潤沢だったことが要因ではないか、と筆者は捉えている。
SKハイニックスを筆頭にメモリメーカー各社はHBM供給量を増やしており、今まで出遅れていたサムスンも積極的な供給体制を整えている。CoWoSの製造能力も増強されているはずだが、こちらは特に報道されるような注目すべきニュースもなく、大きな変動はない、と見るべきだろう。
今後も常にHBMの方がボトルネックになるとは限らないが、この2点がどこまで増強されるか、によって同社の売上は今後も増え続けることが予想される。
目立った次世代GPU「Blacwell」の存在
決算では、エヌビディアの最新世代のAI向けGPUアーキテクチャであるブラックウェル(Blackwell)の好調ぶりも目立った。同社はすでに、主力AI GPUをHopperからBlackwellに移しつつあるが、このBlackwellへの移行は、市場の想定以上に速いのだろうか。
この点について筆者は、ニーズ自体は移行が非常に速いが、これに製造インフラが追い付けるかどうかがポイントと考えている。
エヌビディアが一強状態であるにも関わらず、同社は毎年新型GPUを市場に投入し続け、需要を誘導している。これはハイパースケーラを中心とする顧客各社がより高い計算量力、より速い処理能力を求めているためで、発展途上段階にあるAIシステムとしては「現状の能力で十分」とは決して言えない状況下にある。言い換えれば、その強い要求に応えているからこそ、同社の一強状態が維持されている、ということである。
2024年の主力製品Hopperから2025年はBlackwellに主力製品がシフト、学習能力は2.5倍から4倍、推論能力は5倍から30倍に高速化された。2026年(今年)はRubinが出荷される予定で、学習能力は3.5倍から4倍、推論能力は約5倍に高速化されるという。
ユーザー各社は先を争って新製品へのシフトを進めるだろう。ただし、GPUの能力が強化されるということは、製造面での負担や難易度も増すことになる。想定外の不具合が発生したり、想定以上に歩留まりが悪化したりすれば、移行の妨げになることは間違いないだろう。 【次ページ】「粗利率75%」のカラクリとは
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