- 2026/07/30 14:50 掲載
驚異の利益率5割超…最高益のアドバンテスト、AI相場を救った「検査装置」本当の実力
王者エヌビディアに迫る高収益ぶり…決算が映した異変
アドバンテストは7月29日、2027年3月期第1四半期の連結決算を発表した。売上高は前年同期比39.3%増の3,674億7,300万円、営業利益は53.3%増の1,899億9,000万円。営業利益率は51.7%に達し、売上高と各利益はいずれも四半期ベースで過去最高を更新。同社株は翌30日の取引で大幅に反発した。利益率だけを見れば、世界最大級のAI半導体企業に迫る水準だ。米エヌビディアの2027年1月期第1四半期は、売上高816億ドル(約12兆2,400億円、1ドル=150円換算)、非GAAPベースの営業利益537億8,300万ドル(約8兆675億円)で、営業利益率は約65.9%だった。アドバンテストがエヌビディアを上回ったわけではないが、それでも巨大な半導体工場を持たない検査装置メーカーが5割を超える利益率を稼ぐ事実は異例だ。
ただし、「純利益93.8%増」という数字は慎重に読む必要がある。四半期利益1,747億8,000万円には、戦略投資に関連する金融商品の評価益を中心とした約447億円の金融収益が含まれるからだ。
一方、本業の営業利益も5割を超えて増えており、好業績が評価益だけで生まれたわけではない。通期予想も売上高を従来の1兆4,200億円から1兆7,140億円へ、営業利益を6,275億円から8,460億円へ引き上げた。AI半導体を作る企業だけでなく、その品質を保証する企業にも巨額の利益が流れ込む構図である。
なぜ「AIを作る会社」より検査会社が強いのか
アドバンテストが販売する半導体テスタは、完成したチップが設計どおりに動くか、必要な処理速度や消費電力を満たすかを電気的に調べる装置だ。不良品を見つけるだけではない。性能ごとにチップを選別し、製造工程の改善につながるデータを集める役割も担う。同社の強さを象徴する製品が、SoCテストシステム「V93000」である。SoCとは、演算や通信など複数の機能を1つのチップに集約した半導体を指す。同製品はGPUやCPU、用途別に設計するASICなど、幅広い先端半導体の検査に対応する。大手半導体メーカーに加え、製造を受託するファウンドリーや、組み立て・検査を担うOSATにも採用されているという。
ここに「つるはし型」と呼べる収益構造がある。生成AI市場でエヌビディア製GPUが優位を保っても、グーグルやアマゾンなどが独自ASICを増やしても、製品を出荷するには検査が欠かせない。半導体メーカーの勝敗が変わっても、検査需要そのものは残りやすいのである。
その結果、半導体の生産個数だけでなく、1個当たりの検査項目や検査回数、検査時間が増える。AI半導体の複雑化が進むほど、テスタの価値が高まる仕組みとなり、装置を納入した後の保守や消耗部品の需要も増え、継続的なサービス収入につながる。 【次ページ】今回の決算の要点…推論用AIが起こす「第2次半導体特需」
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