- 2026/08/12 06:20 掲載
【比較】JX金属・信越化学・イビデンら5社、なぜ「AI特需」でも明暗くっきり?
「AI特需」の異変はどこに反映された?
AI半導体向け需要は、材料各社の業績を一様には押し上げていない。7月24日に第1四半期を発表した信越化学工業に続き、8月4~6日にイビデン、JX金属、SUMCO、レゾナック・ホールディングスの決算が出そろった。いずれも8月6日時点で直近1カ月以内に公表された最新決算である。半導体関連事業の利益を見ると、JX金属、信越化学、レゾナック、イビデンの4社は前年同期を上回った。一方、シリコンウエハー専業のSUMCOは2026年1~6月期に営業損失63億円を計上した。売上高は前年同期比4.7%増の2150億円だっただけに、需要回復と利益回復が切り離された格好だ。JX金属はAIサーバ関連製品の増販や販売価格の改善、円安、銅価格の上昇などを反映し、2027年3月期の連結純利益予想を上方修正した。
違いは「AI向けか否か」だけでは説明できない。SUMCOも300ミリウエハーでは、AI・データセンター用の先端ロジックとメモリー向けの強い需要が続き、出荷が大きく増えたと説明している。それでも赤字だった。対照的に、イビデンはGPUやハイエンドCPU向けのICパッケージ基板で、数量と販売価格が期初計画を上回った。レゾナックも、主にAIなどの先端半導体向けで後工程材料の販売数量を増やした。
もっとも、前工程材料が一様に苦戦しているわけではない。JX金属の薄膜材料は半導体用スパッタリングターゲットなどの販売増を背景に増収増益となった。信越化学でも電子材料事業全体の売上高と営業利益が前年同期を上回り、シリコンウエハーやフォトレジスト、フォトマスクブランクスなどが増収に寄与した。
ここから浮かぶのは、AI投資の利益が前工程から後工程へ全面的に移ったとの結論ではない。供給制約が強く、高付加価値品の販売価格や製品構成の改善につなげやすい後工程関連で、利益改善が先行している可能性である。
イビデンはICパッケージ基板で需要が業界の供給能力を上回る状況が続き、販売価格も高付加価値品を中心に堅調としている。レゾナックでも、2026年1~6月期の後工程材料の売上収益は前年同期比46%増と、前工程材料の12%増を大きく上回った。一方、SUMCOはAI関連需要を背景に300ミリウエハーの出荷が増えながら、上期は営業赤字となった。5社の決算が示すのは、「何が売れたか」だけでなく、増えた需要を販売価格や製品構成、利益の改善へどこまでつなげられたかを見る必要があるという点だ。 【次ページ】【比較】5社の最新決算を分析
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