- 2026/08/12 06:50 掲載
【体験】ベンツ新時代の到来…ChatGPTやGeminiも搭載「次世代の車」が想像を超えた
連載:桃田健史のSDVトレンド最前線
桐蔭学園中学校・高等学校、東海大学工学部動力機械工学科卒業。専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、EV等の車両電動化、そして情報通信のテレマティクス。
なぜ新型CLAに大注目?「ベンツの新時代」と言えるワケ
まず、メルセデス・ベンツの事業全体を俯瞰するために「なぜ新型CLAはグローバル市場で大きな注目を集めているのか?」について、その背景から紹介する。基点は、メルセデス・ベンツが2022年1月に公開した「VISION EQXX」だ。1回の充電で航続可能距離は1000キロメートルを超え、AIを活用したUX/UIを持つ。興味深いのは、VISION EQXXのメルセデス・ベンツ全モデルの中での立ち位置だ。
ボディサイズが、メルセデス・ベンツが推進していたEVブランド「EQ」のトップモデルであるEQSに比べて明らかに小ぶりなことが気になった。
筆者がメルセデス・ベンツ関連の取材をドイツ、北米、そして日本で本格的に始めた1980年代以降、メルセデス・ベンツとして技術的な次のステージを目指すためのビジョンと呼ぶ代々のコンセプトモデルは、最上級モデルを対象としてきたからだ。
新技術が量産される場合、上位モデルから導入され、段階的にエントリーモデルまで採用が進んできたというメルセデス・ベンツの歴史を踏まえると、VISION EQXXの将来の姿がつかみきれない印象があった。
その答え合わせが、新型CLAである。
実車が公になったのは、メルセデス・ベンツのオフィシャルサイトで2024年11月に公開した動画だ。ボディをカモフラージュした新型CLAが登場し、メルセデス・ベンツグループAGのオラ・ケレニウスCEOが自らステアリングを握り、ドイツのシュトゥットガルト郊外のテストコースで、EVバージョンで走行してみせた。この際、主にデザインと走りについて紹介した。
次いで、2025年3月にローマで開催されたワールドプレミアでは、ケレニウスCEOは1950年代に世に出たスポーツモデル「300SL」や高級セダンとベンチマークなった「Sクラス」をなぞらえて、「新型CLAはメルセデス・ベンツのNew era(新時代)に向けたブループリントだ」と力説した。
その後、CLAシューティングブレークも登場し、日本仕様についてはセダンとシューティングブレークを同時に発売したという経緯だ。
【安全】“世界最高”水準? 乗員とバッテリーをどう守るか
では、話を今回の技術説明会に移そう。1つ目は、新プラットフォームMMA(Mercedes-Benz Modular Architecture)。説明したのは、パッシブセーフティ担当のシニアエンジニア、クリスティアン・グルーグラー氏だ。同氏は「メルセデス・ベンツのシンボル・スリースターにはセーフティに対する思いが込められている」と、同社の理念から話し始めた(冒頭の写真)。
その上で、グローバルでの市場変化を見据えて、EVとICE(内燃機関)それぞれに対応する世界最高水準の安全を担保する技術要件の必要性を示した。
技術面では、前方からのオフセット前面衝突と側面衝突の試験風景を動画で紹介した上で、実車のカットモデルを使い「EVとICEでは車体構造に違いがある」と指摘する。
主な違いは、前部メンバーとバッテリーパックの両側にある構造物についてだ。特に、後者についてはバッテリーパック保護の観点から極めて重要であり、公開された動画ではこの構造物が衝突によって変形して衝撃を吸収する様子が描かれていた。
エアバッグについては、メルセデス・ベンツの独自設計で、車内各所にセンサーを配置して適切なタイミングに最大の効果を実現している。
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