• 2026/06/26 掲載

粗利率75%の衝撃…エヌビディア「受注残1兆ドル」が突きつける“残酷な生存競争”(2/3)

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「粗利率75%」のカラクリとは

 決算では、米国会計基準(GAAP)ベースで74.9%、一時的要因などを除いたNon-GAAPベースで75.0%だった。

 この驚異的な粗利率の最大の要因は、競合が存在しないことにある。

 発展途上のAIシステムの改善・向上には同社のGPUの進化が不可欠であり、競合は事実上存在しない。特に同社の大手ユーザーであるハイパースケーラには高価なGPU購入に伴う負担がかかっているはずだが、各社の決算を見る限り、財務体力に関してはまったく問題がない。つまりこの価格で、同社が75%もの粗利率を稼いでも、ユーザー側はそれを受け入れることができているのである。

 中には体力的に厳しいITベンダー顧客もいるかも知れないが、AIシステムの実現に関しては「エヌビディアのGPUを購入する財力があるかどうか」という熾烈な争いが繰り広げられている、ということだろう。結果的にGAFAMのような財力のある顧客の方が圧倒的に有利であり、弱肉強食の中でITベンダー同士の生存競争が今後も続くことが予想される。

中国リスクについてはエヌビディアはどう見ているのか?

 最新の業績見通しでは、エヌビディアは中国向けデータセンター用AI半導体の売上を織り込んでいない。

 中国に関する事業リスクだが、同社としては、中国に売れなくても、痛くも痒(かゆ)くもない、という見方だろう。

 かつては中国のTencent社が同社の大手ユーザーの1社だったが、米中摩擦の影響でテンセント社への販売が困難な状況になっている。これはネガティブな状況ではあるが、結論から言えばこの影響は同社にとって痛くも痒くもないところだろう。

 同社のファンCEOは、すでに受注残は1兆ドルを超えている、しかもこの数字は増加傾向にある、とコメントしている。1兆ドルと言えば、2025年の世界半導体市場規模(7,956億ドル)を超える規模であり、たった1社の受注残が世界の半導体市場規模を超えるなど、今まで想像もしたことのないことが現実となっている。

 中国向けのビジネスが再開したところで、同社の受注残が増えるだけで、同社の売上は相変わらずHBとCoWoSの供給能力次第、という現実は変わらないのだ。

「セグメント変化」が生じたある背景

 今回の決算発表では、報告セグメントの変化も注目された。

 これまでの同社の決算開示は、「Datacenter」「Gaming」「Professional Visualization」「Automotive」「OEM&Other」という区分になっていた。しかし「Datacenter」向けが増えるだけで、それ以外の分野は質疑や分析の対象にもならないほど、売上規模に差がついている。そこで同社は、「Datacenter」の中身を「Hyperscale」「AI Clouds, Industrial & Enterprise」に区分し、それ以外を「Edge Computing」としてひとくくりにした。

 重要なのは、Datacenterと言ってもGAFAMだけが顧客ではなく、それ以外の顧客にも幅広く対応していて、そちら向けにも売上が伸びている、という実績を示したことだろう。

 たしかにGAFAM依存度は高いが、それだけではないことが決算で開示されたことは、十分に意義があると筆者は評価している。 【次ページ】エヌビディアのGPU、「優位性」はいつまで続く?
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