• 2026/06/23 掲載

「AI勝ち組」マイクロン、900%上昇でさすがに“売り時サイン”? プロが警戒する理由(2/2)

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今後どうなる?想定される「ピーク」と「下落シナリオ」

 米モーニングスターが算出する推定公正価値455ドルは、2026年度予想の調整後PERで7倍、企業価値売上高倍率で4倍に相当する。2026年度の売上高はAI需要を背景に前年比200%増加し、さらに2027年度も力強い成長が続くと私たちは予想している。その後は価格が正常化に向かい、成長率は鈍化しながら2028年にピークを迎えると想定している。

 一方、2029年には厳しい下降局面に入り、売上高は約50%減少すると予測している。中期的には、高水準の価格設定を背景に、売上総利益率が80%に達するとみている。長期的には、売上総利益率は40~50%の水準に落ち着くという予想だ。

 現在の上昇サイクルにおいては、Non-GAAPベース(会計基準によらない調整後指標)の営業利益率が80%台前半まで上昇すると予測している。サイクルの中間局面では、マイクロンはNon-GAAPベースで40%近い営業利益率を確保できると私たちは考えている。

見落としてはいけない、マイクロンの“致命的弱点”

 マイクロンにとって最大のリスクは、その高い景気循環性にある。メモリ半導体メーカーはコモディティ的な製品であるメモリチップの市場需給の変動を受けやすく、供給過剰局面では価格が大幅に下落する可能性がある。マイクロンは固定費負担が大きいため、価格下落は収益性に過度な悪影響を及ぼしかねない。

 また、同社は中国向け売上高が全体の約25%を占めており、中国事業への依存に伴うリスクも抱えている。さらに、NAND市場の合併・統合の流れから取り残された場合、競合他社との間で規模の格差が生じる可能性がある。マイクロンの売上高の約半分は10社の顧客に依存しているため、主要顧客のうち1社以上を失った場合、業績に悪影響が及ぶ可能性がある。

マイクロン株の好材料と悪材料

マイクロン株の好材料3点

  • メモリ市場が拡大局面にあり需要が力強いときには、マイクロンの売上高成長率と収益性は非常に優れたものとなり得る。

  • マイクロンは、AIインフラへの旺盛な投資を背景とした高帯域幅メモリ事業の大幅な成長の恩恵を受けている。これが同社の成長性と利益率の改善を後押ししている。

  • マイクロンの株主還元策を私たちは高く評価しており、景気循環の影響を受けやすい企業としては、同社のバランスシートは強固であるとみている。

マイクロン株の悪材料3点

  • マイクロンは固定費負担が大きいため、メモリ市場が低迷局面に入れば、設備稼働率の低下に伴う費用負担や大幅な利益率低下の影響を受けやすい。

  • DRAMやNANDはコモディティ的な製品と考えられ、マイクロンが競合他社に対して持続的な差別化要因を構築できる可能性は低いとみられる。

  • マイクロンの業績はメモリ価格の動向にきわめて敏感である。上昇局面における価格上昇率が想定を下回った場合や、下降局面がより激しく変動した場合には、業績や企業価値が大きく押し下げられる可能性がある。

マイクロン株の評価【まとめ】

米モーニングスターの主要指標によるマイクロンの評価
  • 推定公正価値:455ドル
  • スター評価(注1):1つ星
  • エコノミックモート評価(注2):None
  • 不確実性評価(注3):High
注1:スター評価とは、銘柄の過小評価または過大評価に関する見解を示す。5.0(5つ星)の銘柄は過小評価、3.0(3つ星)の銘柄は公正評価、1.0(1つ星)の銘柄は過大評価されている。

注2:エコノミックモート評価とは、米モーニングスターが企業の競争力の強さと持続可能性について「Wide(広い)」「Narrow(狭い)」「None(なし)」という3段階で評価しているものである。なお、「Wide」のほうが高い競争優位性を示す。ウォーレン・バフェット氏が重視する概念としても知られる。

注3:不確実性評価は、企業の将来のキャッシュフローの予測可能性を表し、その企業の推定公正価値における確実性のレベルを表す。Low(低い)/Medium(中程度)/High(高い)/Very High(非常に高い)/Extreme(極端に高い)の5段階で評価する。

注:本分析はモーニングスター・エクイティ・リサーチの株式レポートとして最初に発表されたものです。

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