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- 2026/05/14 掲載
デンソー「ローム買収断念」で露呈した…パワー半導体“日本勢”が勝てない苦しい理由
慶應義塾大学 大学院管理工学にて修士課程を修了。
1985年東京エレクトロン入社。1996年から2004年までABNアムロ証券、リーマンブラザーズ証券などで産業エレクトロニクス分野のアナリストを務めた後、富士通に転職、半導体部門の経営戦略に従事。2010年よりIHS Markitで、半導体をはじめとしたエレクトロニクス分野全般の調査・分析を担当。2017年9月に同社を退社し、同年10月からコンサルティング会社Grossberg合同会社に専任。
ローム買収提案の「黒幕」は誰だった?
デンソーによるローム買収提案には、「黒幕」と呼ぶべき存在が見え隠れしていた。その存在とは、トヨタだ。デンソーはトヨタの指示で動いていたと言えるだろう。筆者は当初、デンソーの単独判断で(トヨタの関与なく)動いているのではないか、と見ていた。しかし本件で自動車業界の方々と意見交換を行ってみると、「デンソーはトヨタの指示で動いている、と見るべき」という指摘を多くいただいた。
トヨタは、グループ内の半導体事業を強化する必要があると判断し、デンソーに「ロームの買収」を指示したものと思われる。クルマの電動化、自動運転化、インテリジェント化、といった変革には半導体が不可欠であり、外部からの調達だけでなく、グループ内の技術力や供給能力を高める必要がある、とトヨタが判断したことがキッカケのようだ。
特に外資系企業への依存を好まないトヨタとしては、国内半導体メーカーの中から買収対象企業を選定したと考えられる。候補企業としては、ルネサスエレクトロニクス、東芝デバイス&ストレージ、ロームなどが挙げられる。
この中で比較的事業規模の小さいロームが選ばれたのだろう。特にロームはすでにデンソーが株式を約5%取得しており、「戦略的パートナー」という位置づけであった。しかしロームが買収案に賛同しなかったため、「敵対的買収」にはしたくない、ということで、トヨタグループとして買収案を取り下げた、と推察される。 【次ページ】自動車業界と半導体業界で「見方が違う」ワケ
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