トークノミクスとは？成立に必要な3つの条件

　トークンとは、いわば従来の経済の「通貨」「証券」、さらには「代替不可能な価値」「個人の存在、経歴」といった価値を表象するもの。そんなトークンを発行し、流通させる経済を「トークノミクス」と呼びます。web3プロジェクトとは、何らかの形でトークノミクスを形成するものといっていいでしょう。

　ここでは、トークノミクスを1. 安定性、2.価格上昇、3. 拡大の3つの点から説明していきます。この3つがそろうと、トークノミクスの健全な成長、維持がかなうと考えられるからです。

【条件1】安定性─「お金」の価値は急上昇しても急下降してもいけない

　まず1つ目の条件は、ユーティリティトークンの価値が安定していること。

　これは国の通貨と同じ話です。ある通貨の価値が上昇するという期待が強くなると、みな、キャピタルゲインを得たいがために、その通貨を使わずに保有し始めるでしょう。

　しかし通貨とは本来、価値交換のために存在するもので、多様な価値交換によって通貨が流通することで経済は活性化します。通貨が盛んに流通し、経済が活性化すれば、それだけ国の税収も増えますから、みなが通貨を保有するという状況はまったく好ましくありません。


　トークノミクスも同様です。あるユーティリティトークンが上昇するという期待が強まると「消費＜保有」のインセンティブが働く。しかし永遠に上昇するということはなく、いつかは天井に達します。そこで価値が暴落すると、今度は、みな我先にと売り始める。これはプロジェクトからの脱退者が続出することを意味し、そのプロジェクトのトークノミクスの縮小につながります。

　というわけで、ユーティリティトークンの価値は安定していることが望ましい。市場で流通している以上、相場変動は起こるものですが、急激な上昇、急激な下降は防がなくてはいけません。 【次ページ】【条件2】価格上昇─「証券」の価格は、上がれば上がるほどいい