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  • 2024/11/21 掲載

暗号資産とデジタル証券が激変、日銀注目「預金トークン」と「ブラックロック事例」

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ブロックチェーンを使った金融商品にカテゴライズされるものが徐々にマーケットでのプレゼンスを上げてきている。ビットコインなどに代表される暗号資産とは異なり、既存の金融プレイヤーが関与しながら事例が積みあがってきているのが現状である。本稿ではまず、デジタル証券を意味する「セキュリティトークン(ST)」、価格の安定性を実現するべく設計された暗号資産である「ステーブルコイン(SC)」の国内動向を中心に紹介する。加えて、特に日銀が注目し、論文を執筆している「預金トークン」や、このトークンにも関連する「ブラックロック事例」を詳説する。
執筆:NTTデータ 金融イノベーション本部ビジネスデザイン室 統括部長 山本 英生

NTTデータ 金融イノベーション本部ビジネスデザイン室 統括部長 山本 英生

NTTデータに新卒で入社、金融機関向けのシステム開発に従事した後、メガバンクのITグランドデザイン策定プロジェクトに参画を機にコンサルタントとしてのキャリアをスタート。金融機関のIT戦略、テクノロジー戦略、テクノロジー起点の事業創造などを主なテーマとしてとりあつかう。情報発信も積極的に実施しており、「Web3と自律分散型社会が描く銀行の未来」(金融財政事情研究会)などの著書や雑誌への寄稿も多数。

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金融領域のトークン化の動向とは?
(Photo/Shutterstock.com)

セキュリティトークンの動向とは?

 まずは、セキュリティトークン(ST)の動向について説明する。日本STO協会が発表している最新の統計では、2023年の発行総額は約662億円と、2022年の約211億円から比べるとおよそ3倍の発行額である。また2024年については上半期までですでに約473億円であり、このペースであれば2023年の数字を超えることは十分に期待できるだろう。

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年別ST発行状況(2024年6月末払込ベース)
(出典:日本STO協会 ST発行関係統計 2024. 09)

 STの種類としては不動産STの発行が大部分を占めており、そのトレンドは引き続き継続するものと思われるが、丸井グループなどのファンマーケティング要素をもつ社債など不動産とは関係ない事例も出てきており、今後のマーケットの拡大が期待されるところである。

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丸井グループは第4回デジタル社債としてグリーンボンドを発行。この社債の資金は再生可能エネルギー発電所の取得に充てられた
(出典:丸井グループ 報道発表)

 直近で注目すべき事例は、フィリップ証券が発行した映画に関するSTである。直木賞を受賞した真藤順丈氏の「宝島」の映画化にあたり、映画製作委員会への出資で得られる権利をデジタル証券化して、小口販売するものである。

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(出典 ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント 報道発表

 1口10万円から購入可能であり、映画ファンにとっては非常に魅力的な特典が付与されている(以下詳細)。

  1~4口 5~9口 10~29口 30口以上
エンドロールに名前を記載      
限定イベントへの招待      
脚本の贈呈    
プレスキットの贈呈    
試写会への招待  
劇場用宣伝チラシの贈呈  
劇場用宣伝ポスターの贈呈  
イメージボードセット(関係者用に配布された背景などをイメージしたデジタルデータ)の贈呈  
特別限定映像情報の配信
購入口数と付与される特典の関係
(出典:証券の募集要項(PSJ_ST宝島_ページ増(phillip.co.jp))を元に筆者にて作成)

 映画に関するSTには、単なる資金調達だけではなく、顧客とのエンゲージメントを強化する狙いがあることがわかる。金融商品としても、映画などのオルタナティブな投資先を提供している点で魅力がある。

 今後こういった新しい魅力的なSTが発行されればより一層マーケットの盛り上がりに寄与することになるだろう。 【次ページ】ステーブルコインの動向
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