• 2025/10/12 掲載

エクイファックス事件の悪夢再来を防ぐ「町内全住民が監視カメラ」方式とは

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毎日300万件以上の個人情報が流出する現代において、従来の一極集中型データ保管は限界を迎えている。しかし、1億4700万人の個人情報が一度に流出した2017年のエクイファックス事件のような悪夢を、根本から解決する可能性を秘めた技術が注目されているという。それは一体どんな仕組みなのか。『ゼロからわかるITほんき入門+マンガ セキュリティのなかみ』を上梓した、フリーライターの長沼良和氏が解説する。
執筆:フリーライター 長沼 良和

フリーライター 長沼 良和

1971年東京生まれ。千葉大学法政経学部卒業。学生時代からビジネスに興味を持ち、ITベンチャーの創業期に参画して会社規模を短期間で大きくする。その後さまざまな職業を経験し、2014年からフリーライターとして独立。ビジネス・金融・ITを中心に、書籍・雑誌・Webを問わず記事を多数執筆。

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「町内全住民の監視カメラ」に例えられる革命的セキュリティ技術とは?
(Photo/Shutterstock.com)

【質問】ブロックチェーンはセキュリティにどんな影響を与える?

【回答】データが分散して管理されているから、データが守られていることや、内容が正しいかを確認できるため、サイバー攻撃される心配が少なくなります。これからの安全なIT社会を支える新しい仕組みの1つになるでしょう。

1億4700万人被害のエクイファックス事件はなぜ起きた?

 毎日300万件以上の個人情報が流出している世界で、ブロックチェーンは、情報を1カ所に保管するのではなく、何千もの場所に分散させる革命的技術です。

 ブロックチェーンは、今までのデータ保管方法と根本から異なる「分散型デジタル金庫」のようなものです。通常のシステムでは、情報は一箇所のサーバーに集中して保管されます。これはすべての貴重品を1つの金庫に入れているようなものですから、その金庫が破られるとすべてが失われます。たとえば、2017年に起きたエクイファックス(注1)のデータ漏えいでは、一度のハッキングで1億4700万人もの個人情報が流出しました。

注1:エクイファックス(Equifax Inc.)…米国の消費者信用情報会社であり、世界で4億人の信用情報をもとにした個人の信用力データを保有しています。

 一方、ブロックチェーンでは情報が何千もの「金庫」に分散保管されます。これは、町内の全住民がそれぞれ監視カメラを持ち、同じ映像を記録しているようなものです。サイバー攻撃者はすべての「金庫」を同時に破る必要があるため、現実的に不可能ということになります。

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ブロックチェーンとは【詳細な図はこちら】

 このような分散型構造により、単一障害点(注2)のリスクが排除され、サイバー攻撃に対する耐性が大幅に強化されます。

注2:単一障害点(Single Point of Failure:SPOF)…システムやネットワークで1つの構成要素が故障すると全体が停止するような弱点のこと。データが1つのサーバーに集中してダウンするとすべてのデータにアクセスできなくなります。
【次ページ】“改ざん不可能”な特性がデジタル生活を安全にする
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