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  • 2024/03/05 掲載

日本はもはや“絶望的”? ジム・ロジャーズが語る「お金が集まる国」の必須条件とは

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ロシアによるウクライナ侵攻や予断を許さないイスラエル・パレスチナ情勢など、不安定な状況が続く世界情勢。こうした情勢は経済にも当然影響をおよぼしており、投資先を見極める際にはこれまで以上に慎重な判断が必要になる。これから投資に値する国はどこなのか。世界三大投資家のジム・ロジャーズ氏が解説する。
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「お金が集まる国」の条件とは
(Photo/Shutterstock.com)
※本記事は『2030年 お金の世界地図』(SBクリエイティブ刊)を再構成したものです。

お金が流れ込む「大前提」とは

 お金の流れは地政学と不可分に結びついている。地政学的な混乱が大きくなれば、当然お金の流れにも変化がもたらされる。

 ここからは、地政学とお金の流れの関わりについて語っていくことにしよう。

 まず、大前提として確認しておきたいのは、お金は常に、安全で最高のリターンを得られるところに向かうということである。

 お金は安全な場所を非常に重視すると同時に、高いリターンを求める。それゆえ、川が水源から河口へと流れていくように、常に安全で高いリターンがある地域へと流れていく。

 もっとも、現在のところ「安全」と「リターン」両方の条件がそろっている国は見当たらない。たとえば、日本は安全性が高い国かもしれないが、今後数十年にわたって高いリターンを得られる国とは言いがたい。なぜなら人口は減少しており、債務も急増しているからである。

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日本は人口減少や債務急増があるため、今後高いリターンを得られる国とは言いがたい
(出典元: skyearth / Shutterstock.com)

 朝鮮半島が平和的に統一されれば、お金は朝鮮半島に向かう可能性はあるが、今すぐに、というわけにはいかない。

 お金の流れは時間をかけて確立されるものであり、仮に来年に朝鮮半島が統一されたとしても、お金の流れを実感するまでには一定の時間を要することになるだろう。

 私は、「どこにお金を置けば、安全で高いリターンが得られるか」という視点から世界各国の情勢を毎日チェックしている。世界中を隅々まで見渡して、答えを探してはいるが、それほど多くの候補があるわけではない。

 たとえば、中国はどうだろうか。人民元には完全な兌換性がないという問題が残っており、ユーロや日本円のように、中国元をインターネット上で売買することはできない。その点が、中国へのお金の流れを阻害する要因となっている。

 ただ、中国が有力候補の一つであることは間違いない。

 戦後から現在に至るまではアメリカドルが世界の基軸通貨として機能し、アメリカにお金が流れる構造が確立していたが、今やアメリカは世界史上最大の債務国である。将来の安全とリターンのために多くの資金を投入できる国とはいえない。

 現状では、アメリカに代替する安全で高いリターンが得られる国は存在しないが、中国が通貨開放を継続すれば、アメリカに取って代わる可能性は高い。

 中国は数十年前から、アメリカに取って代わり覇権国家になることを目指している。そう遠からぬうちにそのようになるだろう。

シンガポールがスイスになれないワケ

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『2030年 お金の世界地図』
クリックすると購入ページに移動します
 ちなみに、シンガポールはスイスのように金融センターとして存在感を発揮する力を十分に持っている。シンガポールは世界金融センターの総合競争力ランキングで、ニューヨークとロンドンに次ぐ世界第3位につけている。

 ただ、シンガポールの人口は約564万人(2022年)。圧倒的にお金が流れ込むとは考えにくい。前述したように、お金には安全が必要であるが、人口500万人では安全性を担保するのが困難だからだ。

 なお、お金は安全とリターンを求めるが、両者を比較すると、より安全を求める傾向がある。

 国によって自国にお金をとどめることが最も安全なところもあれば、自国が安全でない場合もある。たとえば、シンガポールドルはシンガポールにあることが最も安全かもしれないが、アルゼンチンではペソへの信頼が崩壊しており、アルゼンチンでペソを持っていることは安全とはいえない。 【次ページ】なぜ「鎖国」は意味がないのか

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