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- 2025/06/13 掲載
誕生した「NTTドコモ銀行」が1番強い? KDDI・SB・楽天を圧倒できる“ある事業”
連載:デジタル個人金融最前線(第1回)
株式会社マリブジャパン代表取締役。日本金融学会会員。三菱銀行、シティグループ証券、シティバンクで、主に銀行クレジットアナリスト、富裕層向け資産運用アドバイザーとして活躍。その後、独立。著書に『銀行ゼロ時代』(朝日新書)、『人生100 年時代の銀行シニアビジネス事例』(近代セールス社)、『なぜニセコだけが世界リゾートになったのか』(講談社+α新書)など。
出遅れていたドコモ…どれだけ追い付いた?
NTTドコモは住信SBIネット銀行の買収を発表した。TOB成立後の持株比率はドコモ65.81%、三井住友信託銀行34.19%。議決権は50%ずつだが、実質支配によりドコモの連結子会社となる。こうした動きの背景にあるのは、スマホ市場の飽和状態に加え、携帯料金引き下げや低価格プランによる通信事業の伸び悩みだ。ドコモだけでなく、ソフトバンク、KDDI、楽天の大手通信キャリア4社は、金融事業など非通信事業を強化し、ポイント経済圏の拡大や顧客の囲い込みを急ピッチで進めている。
ドコモの場合は、2024年1月にはマネックス証券、同年3月にはオリックス傘下の個人向けローン会社のオリックス・クレジット(現ドコモ・ファイナンス)をそれぞれ子会社化してきた。また、三菱UFJ銀行と共同開発したデジタル口座サービス「dスマートバンク」を2022年12月から提供してきたが、普及しているとは言い難い存在だった。
一方、ソフトバンクがPayPay銀行、KDDIがauじぶん銀行、楽天が楽天銀行を擁する中、大手通信キャリア4社(ドコモ、ソフトバンク、KDDI、楽天)の中で唯一、グループ内に“要”となるネット銀行を持っておらず、ドコモは金融事業で出遅れている状況であった(図表1)。
ドコモの前田義晃社長が「金融サービスが非通信の領域の事業の推進役になる中、銀行は大変重要な機能で必要なピースだ」(2024年6月)と述べているように、グループ内にネット銀行があれば、預金や住宅ローンなどが提供出来るだけでなく、顧客の資産データをマーケティングに活用することで、傘下のネット証券と連携しながら資産運用の提案なども可能になる。
何より魅力的なのは、ポイント優遇によるスマホ料金の支払い口座だけでなく、クレジットカード「dカード」やQRコード決済「d払い」による決済口座の指定に加え、給振口座や住宅ローン口座の獲得により、「ポイント経済圏」と連動する形で、個人のメインバンクとして長期的な顧客の囲い込みが期待できる点だ。
「ドコモ×SBIグループ提携」がもたらす想像以上のメリット
今回のNTTグループとSBIグループの一連の資本業務提携には、NTT側のネット銀行を手に入れて金融事業を強化したいという思惑だけでなく、SBI側にもグループ機能の再編や公的資金完済を進めたいという思惑があり、双方の利害が上手く一致したものと言える。
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