- 2026/09/14 07:00 掲載
ネット銀なのに“有人の窓口”1500カ所も?メガバンク超え狙う「ドコモの銀行」の勝算
連載:デジタル個人金融最前線(第13回)
株式会社マリブジャパン代表取締役。日本金融学会会員。三菱銀行、シティグループ証券、シティバンクで、主に銀行クレジットアナリスト、富裕層向け資産運用アドバイザーとして活躍。その後、独立。著書に『銀行ゼロ時代』(朝日新書)、『人生100 年時代の銀行シニアビジネス事例』(近代セールス社)、『なぜニセコだけが世界リゾートになったのか』(講談社+α新書)など。
預金量11兆円超?巨額買収で始動「ドコモの銀行」の実力
2026年8月3日、ドコモの銀行が満を持していよいよスタートした。同日をもって社名が「住信SBIネット銀行」から「ドコモSMTBネット銀行」に、銀行サービスのブランドは「d NEOBANK」から「ドコモの銀行」に変更された。NTTドコモは、2024年1月のマネックス証券、同年3月のオリックス・クレジット(現ドコモ・ファイナンス)の子会社化に続き、2025年10月、約4,200億円で住信SBIネット銀行を連結子会社化した。
住信SBIネット銀行(現ドコモSMTBネット銀行)は、預金量11兆477億円、口座数915万口座、住宅ローン残高9兆3,013億円(2026年3月末)と楽天銀行と並ぶネット銀行最大手だ。
2026年7月には、NTTドコモの金融事業を束ねる金融持株会社「NTTドコモ・フィナンシャルグループ(ドコモFG)」が発足しており(下図)、「ドコモ経済圏」の拡大により、ドコモFGでは2025年に5,965億円だった金融収益を2030年度には1兆2,000億円にする目標を掲げている。
なお、ドコモの銀行の持株比率は、NTTドコモ55.37%、三井住友信託銀行(SMTB)44.63%ながら、議決権比率は50:50である。
何が変わる?dカード・ドコモ銀・マネックスの連携
2026年8月20日からはドコモの銀行と「dアカウント」の連携機能を開始している。dカードとドコモの銀行に対して、dアカウントで連携を行い、dカードの引き落としをドコモの銀行に設定した上で、dカードのスマホ決済を利用すると、基本還元率1.0%に加えて引落特典として最大2.0%が上乗せされ、初年度は最大3%のdポイント還元が受けられる。
さらに、マネックス証券の口座とdアカウントを連携し、ドコモの銀行との自動入金を設定し、dカード積立とd払い残高積立の合計約定金額を月3万円以上とすることで、dカードのスマホ決済で初年度は合わせて最大4.5%の還元となる(下図)。
dカード、ドコモの銀行、マネックス証券をそれぞれ連携させ、dポイントの付与率が上がることで、ドコモ経済圏を最大限に活用できるようになる。
また、ドコモの銀行誕生記念として、ドコモSMTBネット銀行を所属銀行とする銀行代理業者が運営する「ローンプラザ」、「フラットプラザ」、「住宅ローンショップ」、「住宅ローンデスク」経由で、(1)住宅ローンを新規借入、(2)「ドコモの銀行」口座とdアカウントを連携、(3)スマホやインターネットなどドコモの対象サービスをWeb契約することで、最大10万ポイントのdポイント(期間・用途限定)を付与するキャンペーンを2026年末まで実施している。
有人店舗1500拠点に広げて何をする?
そのほか、ドコモの銀行では、dカードやマネックス証券との連携特典や住宅ローン向けキャンペーンを打ち出すだけでなく、2026年8月21日から、ドコモショップ196店舗での銀行口座開設などの案内やサポートを開始している。具体的には、銀行代理業の許可または金融サービス仲介業の登録を受けた代理店が運営するドコモショップにおいて、ドコモの銀行のサービス内容に関する案内や銀行口座開設などの各種サポートを行うことになる。
本案内・サポートは、顧客自身のスマホでの各種手続きや設定操作をドコモショップのスタッフがサポートするもので、無料で利用可能だ。口座開設に関する画面の入力は、顧客自身が行うことになる。なお、口座開設に必要なものは、スマホと本人確認書類(マイナンバーカードか運転免許証)だけだ。
実は、一足早く、2026年1月からマネックス証券では、一部のドコモショップで、証券総合取引口座の開設、NISA口座の開設、NISAに関するスマホ教室などができるようになっている。
すでに、全国のドコモショップなど196店舗にて、ドコモの銀行の口座開設など、各種サービスを開始しているわけだが、対応店舗は、早期に1000店舗とし、2030年には1500店舗以上を目指している。このうち150店舗以上は住宅ローンの相談や申し込みも可能な店舗とする予定だ(下図)。
2026年3月末の3メガバンクの国内支店は、三菱UFJ銀行が415店舗、三井住友銀行が455店舗、みずほ銀行が470店舗であり、合計では1340店舗となる。
現金を扱わないなど、銀行代理店店舗主体のドコモの銀行とフルサービスが主体のメガバンクの店舗との業務内容は大きく違うものの、数の上では、ドコモの銀行がメガバンクの合計を大きく上回ることになる。
だが、コストのかからない非対面こそが強みだったはずのネット銀行が、なぜここまで“リアル店舗”にこだわるのか。その答えは、ドコモが抱えるある問題が関係している。 【次ページ】なぜ、ドコモの銀行は“メガバン以上に”対面店舗を増やす?
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