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2017年6月にみずほフィナンシャルグループが出資し、次世代ビジネスモデルの創造のために設立されたのが、Blue Labである。カリフォルニアの青い空と新たなビジネスモデルを作るブルーオーシャンのブルーにちなんで、その社名がつけられた。Blue Labの特徴は、金融関連のみならずあらゆる産業・業種を視野に入れていることと、開発実務を行いながら人材育成を進めていること。Blue Labで人工知能(AI)を使ったシステムの開発を行っているのが、AIチームだ。このチームを率いる、みずほフィナンシャルグループ/Blue Labデジタルストラテジストの田村吉章氏に、DX人材育成の事例と実践方法を聞いた。
Blue Lab誕生の経緯とAIチームの取り組み
最初に、Blue Labが誕生した背景を説明しましょう。設立の要因となったのは、金融機関を取り巻く厳しい状況です。人口の減少、少子高齢化の加速、継続するマイナス金利などにより、金融機関の収益低下傾向が続いています。そうした現状への危機感がDXの取り組みを加速させ、Blue Lab誕生につながりました。
みずほはDXを推進する部署としてデジタルイノベーション部という部署を設立しました。あくまでみずほ内部の組織ですから「銀行法」の縛りや種々の厳格な手続の下でしか活動できません。そこでWiLグループがメインで出資し、Blue Labという独立した会社を作りました。メンバーには、みずほのプロパー社員が兼務しているほか、キャリア採用の社員、地方銀行やベンダーからのトレーニーがいます。
現在、AIチームが取り組んでいるプロダクトの柱となっているのはAOR(口座振替依頼書の自動化を目指したシステム作り)とネガポジ情報検知システムの開発です。AORではAI による物体認識、ネガポジ情報検知システムでは自然言語の処理の研究を進めています。
DX人材育成のために必要なこととは?
人材育成の大前提となるのは環境作りです。銀行などの堅い会社に共通しているのは、制限が多いということでしょう。たとえば、電子メールの添付ファイルのサイズが制限される、ホームページの閲覧やパソコンにオープンソースをインストールするためには非常に厳格な手続きが必要となるなど。制限が多いと、メンバーの気持ちが最初の段階で萎えてしまいます。
社内ネットワークから分離・独立したDXチーム専用のネットワークを構築することが、最初の一歩です。万が一紛失しても情報漏洩しないセキュリティ体制はつくるもののオープンソースなどを自由にインストールできるパソコンの配布も必須条件です。
Blue LabのAIチームの育成方法で特徴的なのは、ディープラーニング用のサーバを自分たちで組み立てていること。Blue Labに来るまでは、AIに関する知識も経験もないメンバーがほとんどだったので、まず慣れることが必要でした。コンピューターは後生大事にするものではなくて、使いこなすもの。愛着とともに壊れたら直せばいいという意識を養うのが狙いです。
プログラミングの基本を教えるともに、ゴールとなる製品で使われる技術を検索させて、関連する情報を集めさせています。その過程で“流行”が見え、それが目標になります。数多くあるオープンソースを試すには仮想デスクトップが欠かせません。うまくいかないと思ったらすぐはじめからやり直せるので、解決の糸口を探しやすくなります。自身の力で解決できたことが喜びとなり学習意欲も向上しスキルも一段階アップします。重要なのは自分で解決する力を身につけること、そしてその取り組み姿勢や結果を周囲がほめることですね。
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