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  • 2021/02/06 掲載

早期リタイア「FIRE」とは? 引退後の「経済的自立」をめぐる若者と中高年の共通点

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経済的に自立し、早期リタイアを実現する「FIRE(ファイア:Financial Independence, Retire Early)」が若者を中心にムーブメントとなっている。早期リタイアには多額の貯金が必要なイメージを持つ人も多いだろうが、FIREはだれでも目指すことができる概念として脚光を浴びている。一方で中高年は引退したくてもできず、70歳まで働き続ける時代になりそうだ。若者も中高年も、早く引退したい本音は一緒。違うようで実は共通点の多い、若者のFIREと中高年の引退について探ることで、現代日本でサラリーマンを卒業するための近道が見えてきそうだ。働き続けたい中高年の支援をしてきた筆者が、真逆となる引退方法に切り込む。

執筆:シニアジョブ 代表取締役 中島康恵

執筆:シニアジョブ 代表取締役 中島康恵

50代以上に特化した人材紹介、人材派遣を提供するシニアジョブ代表取締役。1991年、茨城県生まれ。少年~学生時代はサッカーに打ち込み、J1のユースチームで活躍。大学在学中に仲間を募り、シニアジョブの前身となる会社を設立。2014年8月、シニアジョブ設立。当初はIT会社を設立したが、シニア転職の難しさを目の当たりにし、シニアの支援をライフワークとすることを誓った。売上前年比が最高で300%に及ぶ成長を続け、現在に至る。専門紙を中心にシニアの転職・キャリアプラン、シニア採用等のテーマで連載・寄稿中。

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労働に縛られない生き方をしたいのは若者も中高年も同じだ
(Photo/Getty Images)

若者も中高年も早く引退したくてたまらない?

 いよいよ70歳まで働き続けなければならない時代になりそうだ。

 すでに65歳までの雇用継続は企業の義務。来年4月には70歳までの就業機会確保が企業の努力義務となる。「働くシニアの後押し」と言えば聞こえはいいが、年金支給開始年齢の引き上げや、医療費負担の引き上げ検討なども進んでおり、「国が働かせたがっている」と捉える中高年も少なくない。

 こうした中、「FIRE(Financial Independence, Retire Early)」と呼ばれる生き方が、若者を中心に注目を集めており、話題に上り始めている。

 直訳すると「経済的自立と早期退職」。定年を待たず、なるべく早期にサラリーマン生活を終え、資産運用などを中心に生活していくライフプランだ。

 数年前から米国、そして欧州へと広がりを見せたFIREは全世界に拡大し、日本でも実践しようとする人が増えている。特に2020年はコロナ禍の影響もあり、職場や通勤から距離を置きたい人が増え、FIREへの憧れと注目度が一気に上昇した。

 ところで、今や70歳まで働く中高年の生活と早期に引退するFIRE、この二つは一見、両極端のようにも映るが、さまざまな共通点があることをご存じだろうか?

 むしろ、現代の中高年が引退を迎えるには、若者が目指すFIREを参考にするべきかもしれず、FIREを目指す若者ほど将来、安定したシニアライフを送れるかもしれない。

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若者の間で流行するFIREに学ぶべきことは多い
(Photo/Getty Images)

 今回は、現在の中高年の引退と、早期引退を目指すFIREの共通点について解説と、そこから見えてくる新しい引退計画についてご紹介していこう。


若者に支持されるFIREのムーブメントとは?

 数年前に比べると「FIRE」という言葉もだいぶ浸透し、日本で目にする機会も増えたが、それでもまだすべての世代に馴染みある言葉というわけではない。直訳では「経済的自立と早期退職」であると冒頭で述べたが、単に「お金をいっぱい貯めて早く仕事を辞める」というものではないことに注意が必要だ。

 これまでも早期にサラリーマンを「卒業」する人は少なからずいたが、そのイメージは、億を超えるようなかなり巨額の資産を手にしてからの引退といった感じではないだろうか。たとえば、宝くじの高額当選者は高い確率で退職するそうだが、そうしたイメージだ。だが、FIREはそうではない。

 FIREも、リタイア後、主に投資などの資産運用によって生活していくことはこれまでの早期退職と同じだ。これまでと異なるのは、比較的少ない資産でリタイアに踏み切る点だ。

 FIRE発祥の地とも言える米国では、FIRE開始時の資産額を「年間支出の25倍」とすることが指標になっているという。これは「今の年収の25倍」ではなく、ギリギリ生活できるレベルに節約しての「年間支出の25倍」と考えることが多いようだ。

 支出額については、やはり米国発の「4%ルール」という指標もある。生活費が投資元本の4%以内ならば、資産を減らさずに生活できるという考え方だ。

 このルールに則れば、生活費さえ極限まで切り詰めれば、数千万円といった比較的、現実的な貯蓄額の段階でリタイアできる。働きながら貯金をする段階でも節約は必要なため、その後も節約生活を続ければよいだけだ。

 もちろん、米国と日本ではインフレ率や市場成長が異なるため、同じ指標が成り立つわけではないが、FIREを目指す若者は、こうした計算をもとに引退計画を練っている。

 現在の若者はいくつも「〇〇離れ」などと言われるように、上の世代のような贅沢志向や物欲を持たない傾向が強い。最低限のコンパクトな生活を続けることを前提とした資産を元に、負荷を感じるサラリーマン生活を早期にリタイアするFIREは、今の時代を象徴する生き方の一つなのかもしれない。

 そんな若者の志向を反映するFIREと、中高年の引退のどこに共通点があるのだろうか。

【次ページ】日本では早期リタイアのためにはいくら必要なのか?

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