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- 2025/06/17 掲載
身近な「孤独死」を防ぐためにあなたができること。法医学者が語る現場のリアルと対策
50代以上に特化した人材紹介、人材派遣を提供するシニアジョブ代表取締役。1991年、茨城県生まれ。少年~学生時代はサッカーに打ち込み、J1のユースチームで活躍。大学在学中に仲間を募り、シニアジョブの前身となる会社を設立。2014年8月、シニアジョブ設立。当初はIT会社を設立したが、シニア転職の難しさを目の当たりにし、シニアの支援をライフワークとすることを誓った。売上前年比が最高で300%に及ぶ成長を続け、現在に至る。専門紙を中心にシニアの転職・キャリアプラン、シニア採用等のテーマで連載・寄稿中。
孤独・孤立対策推進法施行から1年、子どももシニアも課題
2024年4月1日に孤独・孤立対策推進法の施行から1年が過ぎ、この1年のデータなど、政府からは孤独や孤立、自殺などに関する情報発信が相次いでいる。4月には内閣府から「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査」の2024年の調査結果が公表され、5月には政府の孤独・孤立対策推進本部が「孤独・孤立対策に関する施策の推進を図るための重点計画」を改定した。重点計画の改定では、2024年の小中学生の自殺者数が過去最高となったことを受け、児童館や子ども食堂などの居場所作りが進められるとのことだ。
子どもや若者だけでなく、シニアの孤独もまた問題の1つだ。4月発表の調査結果でも孤独感を覚える50・60代の割合は多く、重点計画の改定でも、孤独死を防ぐための単身高齢世帯を対象とした居場所や社会とのつながりを作っていくことが盛り込まれた。
こうした政府関係からの発表の中で、高齢者の孤独死にフォーカスした内容が、4月11日の警察庁から発表された。
自宅で死亡した一人暮らしの76.4%が高齢者
警察庁が年間を通じた孤独死の統計データを発表したのは初めてのことだ。発表データの「令和6年中における警察取扱死体のうち、自宅において死亡した一人暮らしの者について」では、警察取扱死体全体が20万4184体の中で、「自宅において死亡した一人暮らしの者」は7万6020体で37.2%だった。さらに、「自宅において死亡した一人暮らしの者」の76.4%を占める5万8044体が、65歳以上の高齢者であった。
ちなみに内閣府の「孤独死・孤立死」の実態把握に関するワーキンググループは、警察庁の統計データの発表と同じくして公表した取りまとめの資料において、“死後8日以上経過して発見された状況が孤独死の目安になる”との考え方を述べているが、これをもとに警察庁のデータの死体が発見された経過日数についてみてみよう。
警察庁の発表データにおいて「自宅において死亡した一人暮らしの者」の経過日数の区分でもっとも多いのは「0~1日」の2万8756体(37.8%)だが、8日以上をすべて合計する2万1856体(28.8%)と「0~1日」より少ないもののその差は小さい。
さらに、内閣府の「孤独死・孤立死」の実態把握に関するワーキンググループが前述の資料で“遺体の腐敗が始まる時期”と述べている「死後4日以上」をすべて合計すると3万1843体(41.9%)となる。孤独死とまで言えないまでも、腐敗した状態で見つかる死体が多いことがわかる。 【次ページ】孤独死を防ぐために重要な“とある行動”
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