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  • 2021/03/16 掲載

JFRカード 二之部守代表に聞く「百貨店のDX」、なぜ“クレカ”が鍵を握るのか

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コロナ禍により多くの企業が減収・減益を余儀なくされている小売業。特に百貨店業界は、インバウンド需要が一気に冷え込んだことで大打撃を受けている。そんな中、幾つかの百貨店は決済ビジネスを突破口に顧客との新たな関係を築き、将来への活路を見いだそうとしている。そうした動きを今まさに加速させんとする、J.フロント リテイリンググループ配下のJFRカードの取り組みについて、同社の代表取締役である二之部 守氏に話を聞いた。

聞き手、構成:編集部 山田 竜司 執筆:吉村 哲樹

聞き手、構成:編集部 山田 竜司 執筆:吉村 哲樹

画像
JFRカード
代表取締役
二之部 守氏

コロナ禍で厳しい状況に立たされる百貨店業界

 JFRカードは、大丸松坂屋百貨店やPARCO、GINZA SIXなどを傘下に収めるJ.フロント リテイリンググループに所属するクレジットカード会社。大丸松坂屋百貨店の顧客向けに発行しているクレジットカード「大丸松坂屋カード」の発行・運営を一手に担っている。同社 代表取締役の二之部 守氏は、まずJ.フロント リテイリンググループとしてコロナ禍下での百貨店ビジネスについて語った。

 二之部 氏によると、コロナ禍前までは政府によるインバウンド振興策の効果もあり、百貨店業界の景気は比較的好調に推移していた。しかしコロナ禍以降は海外旅行客が途絶え、国内需要も将来の不安から買い控えが起こったことで、業界全体が厳しい状況に立たされているという。

「2020年4月から5月にかけての1回目の緊急事態宣言時には各百貨店が一斉休業しましたし、その後もインバウンドビジネスが事実上消滅してしまったこともあり、業界全体では2020年度の売上は例年と比べて3割ほど落ち込んでいます。当グループの大丸松坂屋百貨店も同じぐらいの割合で売上が減少しています」(二之部氏)

 ただしそんな状況下にあっても、一部の富裕層向けビジネスに関しては、コロナ禍以降も堅調に推移していると語る。たとえば高額な宝飾品や美術品などを買い求める富裕層顧客の数は、減るどころかむしろ増え、顧客当たりの単価は増加傾向にある。

 その背景には、コロナ禍によって海外渡航に制限が掛かったことで、富裕層が海外旅行の代わりに高額品を買い求めるようになった事情があるようだ。あるいは、日経平均株価が値上がりし、3万円前後で推移していることも富裕層の財布のひもが緩んでいる要因の1つかもしれない。

 こうした商機をより多くつかむために、大丸松坂屋百貨店でも富裕層顧客とのリレーションを強化するためのさまざまな施策を打っている。特にデジタルツールの活用には力を入れているという。

「お客さまと対面で接する機会を持てなくなった分、デジタルのチャネルを通じて顧客リレーションを維持・発展させていくための施策を打っています。たとえば富裕層に対して、外商顧客向けWebサイトを通じてさまざまな美術品を紹介したり、お客さまの自宅とWeb会議をつないであたかも店頭にいるかのような、『ライブショッピング』の形で商品をご紹介するサービスを提供しています。全体的な売り上げをカバーできるほどではないにしろ、オンラインツールを使った取り組みは今後も拡大するでしょうし、百貨店としても注力することになりそうです」(二之部氏)


百貨店・クレジットカード業界にも押し寄せるDXの波

 百貨店業界では現在、デジタル技術を積極的に取り入れてビジネスモデルを変革する「デジタルトランスフォーメーション(DX)」の取り組みが各所で始まっている。

 前述のように、従来の物販のビジネスモデルにデジタル技術を導入して、オンラインでの情報提供やライブショッピングのような新たな販売形態を取り入れたり、あるいはさらに大胆に従来のビジネスモデルを根本から変革するような取り組みも始まっている。

 また、JFRカードが主戦場とするクレジットカード業界にも、DXへとつながるデジタル化の波は押し寄せている。さまざまなキャッシュレス決済サービスが登場し、次々と電子決済市場に参入を果たしている。

「政府が主導したキャッシュレス・ポイント還元事業の効果もあり、電子決済サービスの業界全体に追い風が吹いていると感じます。弊社のようなクレジットカード会社だけではなく、新興の電子決済プレイヤーにも大きなビジネスチャンスが広がっており、今後も競争は激しさを増していくと思われます」(二之部氏)

 そんな中、同社のDXへの取り組みは「まだまだ投資の段階」と二之部氏と語る。同社の従業員は、かつては大丸松坂屋百貨店からの出向者が大半を占める一方、カードビジネスを拡大しようとする人材は少なかったという。人材の新規採用も大阪府高槻市にある本社が中心で、東京には採用どころか社員がいなかったほどだ。

 3年前に二之部氏が着任して以降、カードビジネスの専門家とデジタル技術に明るい人材を東京で積極的に採用。デジタル技術を駆使した新たなサービスの開発や、決済サービスを通じて取得したデータの活用などに本格的に取り組めるようになってきたという。

「現在もまだ、人と商品、テクノロジーに投資している最中で、2021年いっぱいまでは投資フェイズだと考えています。しかしその後はDXの取り組みを加速させて、J.フロント リテイリンググループ全体のビジネスの中で大黒柱とはいかないまでも、中程度の柱ぐらいを担うような計画をしています」(二之部氏)

【次ページ】群雄割拠の電子決済市場におけるクレジットカードの存在感

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