• 会員限定
  • 2023/09/14 掲載

ベトナムEVメーカー「VinFast(ビンファスト)」とは? 一時テスラ・トヨタの次のワケ

  • icon-mail
  • icon-print
  • icon-hatena
  • icon-line
  • icon-close-snsbtns
記事をお気に入りリストに登録することができます。
テスラが牽引するEV市場だが、同社に対抗する新興プレーヤーが米国内だけでなく中国などからも続々登場している。直近の話題は、ベトナム発のEV(電気自動車)メーカー「VinFast(ビンファスト)」が米ナスダックに上場したことだ。時価総額が一時、テスラ・トヨタに続く世界3位に躍り出て、その後、急落したあとも、米GMや日本のホンダなどを超えており注目を集めている。VinFastとはそもそもどのような企業なのか? 今後テスラや日本の自動車メーカーの競合となりうるのか? ナスダック上場をめぐる反応などを紹介しよう。
執筆:細谷 元、構成:ビジネス+IT編集部

執筆:細谷 元、構成:ビジネス+IT編集部

バークリー音大提携校で2年間ジャズ/音楽理論を学ぶ。その後、通訳・翻訳者を経て24歳で大学入学。学部では国際関係、修士では英大学院で経済・政治・哲学を専攻。国内コンサルティング会社、シンガポールの日系通信社を経てLivit参画。興味分野は、メディアテクノロジーの進化と社会変化。2014〜15年頃テックメディアの立ち上げにあたり、ドローンの可能性を模索。ドローンレース・ドバイ世界大会に選手として出場。現在、音楽制作ソフト、3Dソフト、ゲームエンジンを活用した「リアルタイム・プロダクション」の実験的取り組みでVRコンテンツを制作、英語圏の視聴者向けに配信。YouTubeではVR動画単体で再生150万回以上を達成。最近購入したSony a7s3を活用した映像制作も実施中。
http://livit.media/

photo
ベトナム発のEVメーカー「VinFast VF8」
(Photo:VanderWolf Images / Shutterstock.com)

ベトナムのVinFastがナスダック上場、一時世界3位に

 ベトナムの新興EVメーカーVinFast(ビンファスト)が米ナスダックに上場し、そのときの時価総額が米自動車大手GMやフォードを超えたとして話題となっている。

 2023年8月15日、取り引き開始時のVinFastの株価は22ドルだったが、28日には93ドル台まで上昇、これに伴い時価総額は一時1,900億ドルに拡大した。

 世界の自動車メーカーを時価総額順に並べると、トップとなるのはテスラで、その額は約7,000億ドルに達する(調査時点、以下同)。これにトヨタが2,200億ドル、ポルシェが1,000億ドル、中国BYDが940億ドル、メルセデス・ベンツが780億ドル、BMWが712億ドル、フォルクスワーゲンが707億ドル、フェラーリが560億ドル、ステランティスが550億ドル、ホンダが500億ドル、フォードが473億ドル、GMが457億ドルで続く。

 8月28日時点の時価総額で比較するとVinFastは自動車メーカーとしては世界3番目に位置したことになる。

 これまであまり知られることのなかったベトナムの新興自動車メーカーが日本や欧米の老舗企業の時価総額を上回ったことが注目されたわけだが、そもそもこのVinFastとはどのような企業なのだろうか。

突如出現したEVメーカー「VinFast」とは?

 VinFastとは2017年に、ベトナムの最大財閥ビングループが自動車産業に参入するために、同グループの代表であるファム・ニャット・ブオン氏が設立した自動車メーカー。本拠はベトナム北部のハイフォン市。2019年に工場の稼働を開始し、当初はガソリン車を製造していたが、2021年に同社初のEV「VF e34」を発売し、2022年にはEVの専業メーカーへと舵を切った。

 グループの資金力でイタリアの名門ピニンファリーナのデザインを取り入れ、BMWの技術を購入し、シーメンス、マイクロソフト、ボッシュ、クアルコムらとも積極的に提携している。さらには優秀な外国人技術者らを引き抜くなどして、欧米の大手メーカーの知見を取り込んできた。

 CEOのレ・ティ・トゥ・トゥイ氏はベトナムのビンディン省で生まれ、ハノイ貿易大学、国際大学、ハーバード大学ケネディスクールを経て、現在は親会社のビングループの副会長もつとめる著名女性経営者。同氏によると、VinFastは生産工程の9割を自動化した世界トップクラスの製造拠点を保有しているという。

画像
ベトナムではVinFastを見かけることも増えたという
(Photo:Minh K Tran / Shutterstock.com)

 2020年以降、VinFastは海外展開を加速。3月に米国工場の建設、6月には独、仏など欧州の販売拠点開設を発表した。11月には、ベトナムの自動車メーカーにとって初の海外輸出として、米国にSUVタイプの電気自動車「VF8」を送った。今後、2025年までに年間50万台を製造する計画を掲げている(参考:マツダの2022年の世界生産台数はおよそ110万台)。 【次ページ】なぜ株価が高騰したのか?その実力は?

関連タグ

あなたの投稿

    PR

    PR

    PR

処理に失敗しました

人気のタグ

投稿したコメントを
削除しますか?

あなたの投稿コメント編集

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

通報

このコメントについて、
問題の詳細をお知らせください。

ビジネス+ITルール違反についてはこちらをご覧ください。

通報

報告が完了しました

コメントを投稿することにより自身の基本情報
本メディアサイトに公開されます

必要な会員情報が不足しています。

必要な会員情報をすべてご登録いただくまでは、以下のサービスがご利用いただけません。

  • 記事閲覧数の制限なし

  • [お気に入り]ボタンでの記事取り置き

  • タグフォロー

  • おすすめコンテンツの表示

詳細情報を入力して
会員限定機能を使いこなしましょう!

詳細はこちら 詳細情報の入力へ進む
報告が完了しました

」さんのブロックを解除しますか?

ブロックを解除するとお互いにフォローすることができるようになります。

ブロック

さんはあなたをフォローしたりあなたのコメントにいいねできなくなります。また、さんからの通知は表示されなくなります。

さんをブロックしますか?

ブロック

ブロックが完了しました

ブロック解除

ブロック解除が完了しました

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

ユーザーをフォローすることにより自身の基本情報
お相手に公開されます