今や経営リスクになりかねない「社用車の事故」 AIだからできるリスク低減方法とは？

ありがとうございます！
いいね！した記事一覧をみる

会員になると、いいね！でマイページに保存できます。

深刻な人手不足が続く中、企業の社用車管理における安全対策は一層の重要性を増している。特に物流業界では輸送量の増加と労働時間短縮の板挟みとなり、1台あたりの運搬の重要性はより高まっている。また多くの企業で営業車の保有台数削減により1台が止まることの影響が拡大している。このような状況において、事故を効果的に削減する対策の1つに、ドライバーの危険運転を自動的に判断するデジタル技術が今注目を浴びている。

「社用車の事故」をAIで減らす方法とは？

（Photo/Shutterstock.com）

社用車の安全管理を取り巻く社会環境の変化

　物流企業を筆頭に日々の事業活動の中で多くの企業が自動車を活用している。しかし、昨今ではこうした車両を取り巻く環境は大きく変化している。まず顕著なのが、ドライバー層の質的変化だ。若年層の運転離れが進む中、運転免許取得後に初めて乗る車が社用車というケースも珍しくない。さらに、現在では少子高齢化によって高齢ドライバーが増加しているが、高齢者は注意力や体力の低下による事故も懸念される。近年では当たり前に普及しているスマートフォンへの依存が「ながら運転」の増加に寄与しており、事故リスクを高める要因となっている。

　一方で、人手不足が深刻化している現状は運行管理の品質低下にもつながりかねない。これまでしっかりと安全対策が実施できていた企業でも、人員不足から十分な管理ができなくなるケースは十分に起こり得るだろう。

　もし、企業が一度事故を起こしてしまえばその影響は甚大なものだ。物流業界ではドライバー減少という課題に直面する一方、貨物量が増加している。すなわち、1台の車両や1回の運行が担う業務量は増大し、事故が発生した際の影響は以前よりもさらに深刻になっていると言える。

　事故は従業員のケガや車両運行不能によるビジネス機会の損失、事故処理に費やす時間や保険料・修理費の増加など、直接的な損害が生じることは言うまでもない。加えて、昨今では、SNSや手軽に撮影できるスマートフォンの普及により情報が拡散しやすく、1回の事故が企業イメージの毀損、顧客離れ、株価の低下といった社会的・経済的影響を及ぼす可能性も無視できなくなっている。

　こうした複合的な問題に対処するには、急ハンドルや急ブレーキ、速度超過などを人が注意して指導するという対策だけでは不十分だ。事故につながる危険行動を包括的に可視化したうえで根因を取り除く新たなアプローチが求められている。

この記事の続き＞＞