- 2026/04/10 掲載
米国も落胆…ソニー・ホンダのEV車発売中止、最強タッグが中国勢に完敗した決定的理由
連載:米国の動向から読み解くビジネス羅針盤
米NBCニュースの東京総局、読売新聞の英字新聞部、日経国際ニュースセンターなどで金融・経済報道の基礎を学ぶ。現在、米国の経済を広く深く分析した記事を『週刊エコノミスト』などの紙媒体に発表する一方、『Japan In-Depth』や『ZUU Online』など多チャンネルで配信されるウェブメディアにも寄稿する。海外大物の長時間インタビューも手掛けており、金融・マクロ経済・エネルギー・企業分析などの記事執筆と翻訳が得意分野。国際政治をはじめ、子育て・教育・司法・犯罪など社会の分析も幅広く提供する。「時代の流れを一歩先取りする分析」を心掛ける。
発売中止を惜しむ声も…米国民も注目していた「AFEELA」
米国におけるAFEELAの評判は、「信頼性の高いホンダのEVプラットフォームの上に、ソニーの優れたセンサー機器による安全性能や完全自動運転、エンターテインメント技術が乗っかったクルマ」という捉え方をするものが多い。つまり、米国においてこのモデルは純粋なEVというよりも、テック企業のソニーが開発した「テクノロジーの塊」という付加価値が注目されていたのである。事実、AFEELAの開発中止を報じた米テックサイトのThe Vergeは、「振り返ってみると、AFEELAは自動車である以上に、ソニーのエンターテインメントのプラットフォームであった」と分析している。
AFEELAは、日本企業チームによる「SDV(Software Defined Vehicle:ソフトで制御される自動車)」作りの野心的な試みであった。クラウドによる制御で、乗車したドライバーに応じて車高や曲がる時の感覚、加速の鋭さなどの設定を変えることができる「スマホ化」を目指していた。
最大800 TOPSの計算能力を持つ電子制御ユニットを搭載して高レベルの運転支援を実現させるほか、対話型のAIパーソナルエージェントやソニーの立体音響技術、PlayStation 5のゲームを遠隔プレイできる機能など、米国で市販されているEVモデルにはあまり見られない優れた特徴がある。
基本モデルは8万9,000ドル(約1,421万円)からという価格設定で、先行販売される西部カリフォルニア州で200ドル(約3万2,000円)の頭金にて予約を受け付けていた。この価格設定は、アップルが2024年に開発を断念したApple Carのおよそ10万ドル(約1,600万円)と類似しており、完全自動運転の実現を狙っていた点も似ている。
事実、米自動車エンターテインメントのニュースサイトであるSupercar Blondieは、「SHMがAFEELAの開発中止を決断したことは、Apple Carの事例を想起させる。だが、アップルのクルマと違い、AFEELAは一般向けに試作車が公開され、目で見て触って確かめることができた。搭載された40個以上のセンサーや18個のカメラ、天井に据え付けられた(レーザー光を使って対象物までの距離や位置・形状まで正確に把握できる)LiDARなどの付加価値は大きかった。開発が断念されたことは残念だ」とする自動車ライターのアレッサンドロ・レネシス氏の評論を掲載した。
また、米有力テックサイトのWiredもAFEELAの名のダジャレを用いて、「(開発中止のニュースで)われわれも憂鬱に感じている(We’re Afeelin’ blue, too)」と惜しんだ。
一方、米国では、AFEELAの開発中止が、ホンダの拠点があるオハイオ州の雇用維持や経済効果に悪影響を及ぼすことが懸念されている。 【次ページ】ホンダ周辺でささやかれる“心配事”とは…
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