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- 2024/09/18 掲載
【完全解説】製造業が抱える「部品調達」の問題点、現場担当者のリアルな悩みとは
スマートフォンができるまで 「裏方の裏方」の製造工程
スマートフォンを例に機械部品の調達の世界を見ていきましょう。私たちが手にする「最終製品」が完成するまでに、知られざる製造工程があるのです。スマートフォンは、頭脳にあたるプロセッサ、ディスプレイ、バッテリー、電源ボタンなど数多くの構成製品を組み合わせて完成品メーカーが製造します。構成製品を部品メーカーが均質に量産するためには、生産設備や金型などが必要です。その役割は金型・設備メーカーの自動化装置(ロボット、工作機械、自動組み立てラインなど)が担っています。その自動化装置を組み立てる生産間接材(機械部品)の調達現場が今回の舞台です。まさに裏方の裏方ですが、不可欠な領域であることがお分かりいただけると思います。
まずは自動化装置がどのようなプロセスで作られているかご紹介しましょう。
はじめに自動化装置のオーダーに対して、メーカーは見積を提示し、受注します。その次に、製造する自動化装置の設計図を作成します。設計図の完成後、構成部品の一覧表(業界用語で部品表、BOM〈Bill Of Material〉と呼ばれるもの)を作成し、この部品表を基に部品調達(部品の購買)を進めます。そして、納入された部品を組立て、検査し、完成後に納品するという流れです。
部品を買うだけ…ではない難しさ
こうしたプロセスの中で課題を抱えているのが、今回お話する調達の工程です。「設計図で決まった部品を調達する」と言うと単純に聞こえるかもしれませんが、実は自動化装置に必要な部品点数は、数百点から多いもので3千点にのぼります。数多くの部品種を必要な数量、必要な納期で調達を完了させる必要があるのです。
さらに、スーパーマーケットでの買い物のように1店舗ですべて手に入れることはできません。仕入先によって購入できる部品種の取り扱いが固定化されていたり、欲しい数量が希望納期までに揃わなかったりという理由で、複数の仕入先との調整が必要になります。数十社から、自動化装置の案件によっては数百社にも仕入先が必要になるというケースも存在します。
部品調達担当者の激務はこれだけではありません。社内でも悩みを抱えているのです。 【次ページ】調達担当者のリアルな悩み
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