- 2026/10/20 06:50 掲載
【今日打ち上げ】日本の「火星衛星」探査に大注目、米中に割って入る「世界初」の全貌(2/2)
MMXは「日本最大級」、その驚きの構造とは
MMXは火星圏まで航行し、直径が20~30キロメートル程度の衛星フォボスに着陸して複数回のサンプル採取を実施し、米欧の協力による観測装置も加えて実に11ものミッション機器を搭載することになっている。このため、日本の探査機としては非常に大型の探査機を「往路」「探査」「復路」の3つのモジュールで構成し、火星圏への航行から帰還まで役割を終えたモジュールを多段式ロケットのように順次切り離して身軽になるというこれまでにない機体設計が考えられている。
探査機全体の質量は4480キログラム、うち本体質量は1450キロ、推進薬量が3030キロ(往路:1840キロ、復路:1190キロ)となっている。全体で4200キロと見られていた2025年後半の段階よりもさらに増加し日本の探査機では最大級だ。
JAXA 宇宙科学研究所が進める火星衛星からのサンプルリターン(注)ミッションの構想が本格的に始まったのは2016年ごろ。2020年に正式な計画がスタートしたが、当初は2024年目標だった打ち上げ予定は、H3ロケットの開発の遅れから2年ずれ込んで2026年になった。
火星圏へ到達できる最適な期間はおよそ2年に1回訪れるため、延期はどうしても2年単位にならざるを得ない事情がある。
【スケジュール】帰還まで何年かかる?
ミッションスケジュールは、2026年10月の打ち上げ後に地球から火星圏へ航行し、2027年に火星圏へ到着して往路モジュールを分離。火星周回軌道に入ってフォボスへ接近する。2027年~2029年にはフォボスの観測と欧州が開発したローバーを放出し、2回の着陸・サンプルを採取する。2029年~2030年にはフォボスに加えて火星ともう1つの衛星ダイモスを観測。2030年に火星圏を出て地球への帰還を始め、2031年には試料を収納したサンプルリターンカプセルをオーストラリアに向けて分離し、地上で回収することになる。
ミッションの山場であるサンプル採取には、日本(JAXA)の採取機器に加えてNASA提供の機器を使用する。欧州のローバーも車輪を持つ新規開発型で、実質的な国際共同ミッションとしての性質も持っている。
MMXは、世界初のフォボスからのサンプルリターンに加え、日本にとって再挑戦となる火星圏への航行、フォボスへの着陸とサンプル採取、そして地球への帰還まで、多くの難関を1つのミッションに組み込んでいる。
その実現には、4480キロという大型探査機を往路・探査・復路の3モジュールに分けた独特の機体構成をはじめ、フォボス近傍での航法、着陸、サンプリングなど、これまでの日本の惑星探査をさらに発展させた技術が必要になる。次回は、こうした「初めてづくし」のMMXを支える機体設計と探査技術を詳しく解説する。
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