- 2026/10/13 06:50 掲載
JAL“空飛ぶ宅急便”終了で「ANA圧勝」に見えるが…「舞台は成田」両社の絶好機の訳
連載:北島幸司の航空業界トレンド
航空会社勤務歴を活かし、雑誌やWEBメディアで航空や旅に関する記事や連載コラムを執筆する航空ジャーナリスト。世界の航空の現場を取材し、内容をわかりやすく解説する。テレビ、ラジオの出演経験もあり、航空関係の講演を随時行っている。ダイヤモンド・オンラインでの連載、ブログ「Avian Wing」の他、エアラインなど取材対象の正式な許可を得たYouTube チャンネル「そらオヤジ組」も更新中。大阪府出身で航空ジャーナリスト協会に所属する。
【ANA】NCAが加わり「輸送量JALの2倍」に
ANAグループは2027年4月、ANA Cargo、NCA、NCA Japanの3社統合において、AOC(航空運航事業許可)をNCAで存続させ、新ブランド「ANA Nippon Cargo」、正式社名「ANA Nippon Cargo Airlines株式会社」へ変更することとした。ANAはこれまで、旅客機の床下スペースを使うベリーカーゴに加え、ボーイング767、777貨物機を運航。そこに2025年8月に完全子会社化したNCAの747-8Fが加わった。NCAは成田を拠点に欧米・アジアを結び、大型フレイターによる大量輸送を得意とする。
2024年度の貨物輸送量は、ANAとNCAを合わせると貨物トンキロ(FTK:Freight Tonne Kilometres)では60.9億FTKで、JALの28.0億FTKの2倍を超える。また2025年比較では、ANAとNCAは世界13位の位置につく。
統合の意味は単なる輸送量の足し算ではない。営業、予約、貨物スペース管理、上屋、搭載、通関、陸上輸送まで一体化できれば、ANA+NCAはアジア⇔日本⇔欧米を結ぶ航空物流プラットフォームへ進化できる。
一方のJALも、決して貨物事業を縮小するだけではない。ヤマトHDとの国内線貨物専用機の運航は終了するものの、JAL自身が保有する767貨物機や旅客便の貨物スペースを活用することで、独自のネットワークを構築できる。さらに、ヤマトHDが保有する小型貨物機A321P2Fを将来的に国際線へ転用できれば、成田と東アジア・東南アジアを結ぶ輸送網を強化する選択肢も生まれる。
そもそも、航空貨物の勢力図はこの20年で大きく変わった。2005年度にはJALの貨物輸送量がANAの約3.1倍だったが、2024年度にはANAとNCAの合計がJALの2倍超となった。だからこそJALには、かつて培った貨物機運航や貨物営業のノウハウを、現在の旅客ネットワークや物流企業との連携にどう生かすかが問われる。単純に「ANAの勝利、JALの敗北」と捉えるのは早計だろう。
カギを握るのが成田空港である。2025年に約209万トンの貨物を取り扱った成田では、貨物施設の再編や自動化を含む機能強化が進む。ANA+NCAとJALの2024年度の貨物輸送量を合計すれば、世界7位相当の規模に達する。両社がそれぞれの強みを生かし、競争しながら国際ネットワークを拡充できれば、成田は日本の製造業と世界をつなぐ戦略的な貨物ハブへ進化する可能性がある。
【JAL】ヤマトHDとの運航終了が「実は絶好機」のワケ
注目したいのはエアバスA321P2Fである。ヤマトHDが保有しているものだが、航空貨物マーケットはボーイング機が主流であり、小型貨物機の737は売れやすくてもエアバスA321貨物機がすんなり売却できるとは限らない。
3機はスプリング・ジャパンが運航しているため、JALが保有し国際線転用とするには新たな事業スキームが必要になる。それでも、国内線で役割を終えた機材を、成田と東アジア・東南アジアを結ぶフィーダーとして活用する発想は検討に値する。
大型貨物機と、小型で小回りの利くA321P2Fでは役割が異なる。JALが767貨物機、旅客便ベリー、さらに将来的に小型フレイターを組み合わせれば、ANA+NCAとは異なるネットワークを構築できる。半導体、自動車部品、医薬品、越境ECなど、日本発着で航空輸送との親和性が高い貨物は多い。
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