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- 2023/09/21 掲載
それでも「円安が止まらない」と言える3つの理由、避けられない悪夢のシナリオとは
日本経済をとりまく環境が激変している
東京外国為替市場では再び円安が進んでおり、2023年9月20日には、1ドル=148円を突破した。財務省の神田真人財務官は、「ファンダメンタルズでは説明できない動きがみられる」として警戒する姿勢を示している。専門家の中にも、今の円安は行き過ぎであり、いずれ円高に戻ると主張する論者は多い。たしかに足元で進んでいる円安は、日米の金利差に基づいたものであり、多分に投機的な動きが含まれている。だが背景にある日本経済をとりまく環境の変化について考えた場合、日米金利差が縮小し、一時的に円高に振れることはあっても、その後、再び円安に回帰し、そのトレンドが長期にわたって継続する可能性について排除できない。
では、日本経済の環境変化というのは具体的にどういうことだろうか。
円安が続くかもしれない理由(1)
1つは、日本の大規模緩和策に出口が見えておらず、円の大量供給が今後も続く可能性が高いことである。大規模緩和策というのは、日銀が積極的に国債を購入し、市場に大量の資金を供給する政策である。大量の資金が供給されれば市場にインフレ期待が生じるので、為替は円安に進みやすくなる。米国は大規模緩和策の弊害が大きくなってきたことから、すでに撤退を始めており、金利を引き上げると同時に、市場から貨幣を回収している。このところ米国において金融機関の破綻が相次いでいるのは、過剰なマネーを当局が吸い上げているからである。一方、日本は現時点においても緩和策を継続中であり、仮に日銀が政策を修正したとしても、金融市場が正常化するまでには相当な時間がかかることが分かっている。
米国はドルを市場から回収して価値を上げる政策を行っており、一方の日本は、市場に円を供給して価値を減価させていく政策を続けていると解釈できる。そもそもアベノミクス(大規模緩和策)というのは意図的にインフレと円安を発生させる政策である。一連の状況が続く限り、仮に金利差に多少の変化が生じても、円安は継続することになるだろう。 【次ページ】円安が続くかもしれない理由(2)
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