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- 2024/03/04 掲載
横浜銀行ら事例も、金融庁「金融AI活用」ガイドラインまとめ
大野博堂の金融最前線(71)
AI「4つの基本機能」
手作業のみで経営が遂行される事業の例は総じて少なくなったものの、OEMを頂点とする末端の工場(こうば)レイヤーでは依然として紙の帳簿やFAXでの受発注にとどまる企業がみられる。こうした企業にPCを導入して事務の合理化や高度化を図ることもDXとなり、さらにより高度なテクノロジーが管理容態として整備されることで、業務変革が促され、経営そのものが刷新されることになる。
かつて「紙」が大量に流通する文化であった金融機関の内部事務においても、IT化、ICT化が急激に進展しており、併せてサポートツールとしての優位性に注目され、導入機運が高まっているのが人工知能(Artificial Intelligence:AI)である。
AIは、認識系と分析系に大別され、「認識」「理解」「解釈」「推論」の4つの要素機能に分解することができる。
金融機関では、こうした要素機能を組み合わせることで、おおよそ「顧客チャネル改革」「内部事務改革」のいずれかにAIを導入する傾向にある。
顧客チャネル改革においては、Webサイトを顧客チャネルの入り口とし、顧客からの問い合わせ対応をロボットが非対面でリアルタイムに実現する方式でのAIチャットボットが多く採用されている。
先行した横浜銀行のチャットポット
預金取扱金融機関では、横浜銀行が相続手続きへの問い合わせ対応をオンライン上で完結し、顧客の利便性を高める目的でAIチャットボットをいち早く導入したことが知られており、現在では業態を問わず広く利用が進んでいる。このように、Webサイト上のチャットボット採用は、金融機関の主要サービス・商品ごとに、Webサイト上でAIによる質問受付・回答を自動化対応することで、サービスや商品の認知度向上と訴えたいメッセージの効果的な発信が可能となる。
さらに、実際の手続きや相談で営業店に来訪する顧客が「必要書類の不備」などでいったん帰宅して出直す、といった顧客負担を軽減することが期待される。
また、日本IBMでは、AIエンジン「watson」を他社に先駆けて本邦企業向けに提供し始め、現在では金融機関も利用可能な「watsonx Assistant」が提供されている。watsonx Assistantを使用すると、プログラミングの知識がなくともドラッグ・アンド・ドロップで顧客との会話フローを構築・維持できる。
さらに、銀行業務固有のテンプレートがあらかじめ提供されるのが特徴である。なお、チャットボットは金融機関内部で職員からの問い合わせ対応にも導入事例があり、多くの行職員を抱える規模の大きい金融機関ほど問い合わせ対応に要する職員稼働が削減されるなどの効果発現が期待されている。 【次ページ】金融庁“ガイドライン”で示された「金融AI」のポイントとは?
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