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- 2024/04/11 掲載
なぜ「もしトラ」から「確トラ」へ? トランプ評価“急上昇”の根拠
専門は、現代米国政治、政治マーケティング・広報。とくに米国大統領選挙・政権における経営とマーケティングおよび広報戦略の事例分析。
東京都出身、早稲田大学政治経済学部政治学科卒、早稲田大学大学院政治学研究科博士課程修了。埼玉大学教養学部・助教授、同大学人文社会科学研究科・教授(2002年~2022年)を経て、2022年4月より名誉教授。米国ハーバード大学行政大学院・ジョージワシントン大学政治経営大学院にて客員研究員(1999年~2001年)。
主な著作に、「マーケティング・デモクラシー: 世論と向き合う現代米国政治の戦略技術」 (単著、春風社、2014年)、「政治コミュニケーション概論」 (共著、ミネルヴァ書房、2021年)、「現代のメディアとジャーナリズム6:広報・広告・プロパガンダ」 (共著、ミネルヴァ書房、2003年)など
予想以上のトランプの勢い、候補指名を確実に
実際に1月15日アイオワ州党員集会を皮切りに予備選が始まると、対立候補のデサンティス・フロリダ州知事、若年層に支持された40代実業家ラマスワミ、最後まで「反トランプ」の代表として選挙戦に残った元国連大使ヘイリーを次々と退けた。
そして、3月12日に異例の早さで、候補指名に必要な過半数代議員数1215人を確保し、7月共和党大会での候補指名を確実にした。
たしかに候補としては「確トラ」だ。
激戦州はトランプに追い風?確トラ予想の根拠
しかし、なぜ昨今の報道は、候補「確トラ」から、政権奪還「確トラ」に一足飛びに飛躍しているのだろうか。それは、世論調査で昨秋以降、トランプがバイデンをリードしていることだ。ただし3月末時点(RCP平均値)の差は僅か1-2ポイント、「賭けオッズ」平均値はトランプ45.0、バイデン37.8と伯仲する。
だが大統領選挙は、世論調査のような「全米総得票数(PV)」の差ではなく、州単位の総得票数で上回った候補が「州の割り当て選挙人数(EV)」を総取り(注1)し、その合計数が全選挙人数538の過半数に達したほうが勝つ。
鍵を握るのは、トスアップと呼ばれる7つの激戦州だ。そこで1票でも多く競り勝ち、州の選挙人数を効率的に積み上げれば、仮に得票数で負けても大統領になれる。
トランプ陣営は2016年選挙当時から、データ科学に基づく効率的なEV集票で知られている。表1は、2020年選挙にバイデンが僅差で勝った6州、トランプ1州を含む7激戦州の動向を示す。PV票の差はわずかだ。
現時点の世論調査のトランプ優勢が続き、激戦州のEVがトランプに行けば、勝敗は逆転する。 【次ページ】刑事民事裁判でも逆に高まるトランプの支持率
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