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- 2024/08/26 掲載
年収320万円で保険料が「6.6万円」高くなる? 負担割合が「不公平すぎる」大問題
連載:野口悠紀雄のデジタルイノベーションの本質
1940年、東京に生まれる。 1963年、東京大学工学部卒業。 1964年、大蔵省入省。 1972年、エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。 一橋大学教授、東京大学教授(先端経済工学研究センター長)、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを歴任。一橋大学名誉教授。
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介護&医療保険で「高齢者負担の拡大」が続く
後期高齢者医療において、これまでの自己負担割合は原則1割、所得の多い世帯で3割だった。これが改正され、2022年10月から、1割負担だった人のうち所得が一定以上ある人について、自己負担割合が2割となった。変更の対象者は、後期高齢者医療制度の被保険者の約20%に上る。所得の多い世帯は引き続き3割なので、結局3段階の区分になった。さらに2023年5月に健康保険制度が改正された。後期高齢者医療制度の年間保険料が、2024、2025年度の2年間で、全体平均で年約5,200円引き上げられる。
介護保険では、65歳以上の介護保険料が2024年度から引き上げられた。これまでは所得に応じて9段階に分かれていた国の標準区分を変更し、13段階に増やした。これまで最も高い所得区分で、基準額の1.7倍だったのが、最大2.4倍に引き上げられた。
今後の焦点になるのが、介護保険の利用料を2割負担する人の対象拡大だ。政府は2024年度に、介護サービス利用費における2割自己負担の対象者を広げる方針を示し、少子化対策の財源確保に向けた社会保障改革の計画「改革工程」の素案に盛り込んだ。改革工程は、2023年12月5日の経済財政諮問会議で示された。
しかし強い反発を受け、引き続き検討が行われることになっている。政府は新たな期限として、「2027年度の前」までに結論を出すとしているが、合意形成がどこまで進むか、先行きは見通せない。 【次ページ】高齢者負担の引き上げは「所得の範囲」が超重要
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