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- 2024/09/12 掲載
地域金融は要注目、金融行政方針で示された「本気のインパクト投資」対応要請とは?
大野博堂の金融最前線(79)
カーボン・クレジット市場の在り方と取引ルールの検討
本年8月30日に公表された金融行政方針では、いくつかのトピックが見受けられた。前回はその中でも事業性融資推進について、本事務年度における金融庁の取組体制とその背景について解説した。第2回となる本稿では、今次金融行政方針で併せて取り上げられた「サステナブル」をキーワードに、金融庁の現下の課題認識を俯瞰するとともに、金融機関に期待する姿に迫る。
金融行政方針では、脱炭素への取組みに関し、企業への脱炭素に向けた取り組みを支援するよう呼び掛けている。ただし、こうした取組みは今や業を問わず実践段階にあることは言うまでもない。
注目すべきは、カーボン・クレジット取引市場の在り方に言及している点だ。2023年2月に閣議決定された「GX実現に向けた基本方針」を受け、東京証券取引所に開設されたのがカーボン・クレジット市場だ。
同取引所の公表計画によれば、2024年度は、5月に適格カーボン・クレジットの取引活性化に向けた制度運営が開始されたことを皮切りに、11月には排出量取引に係る業務が開始される予定とされる。
他方、かねてカーボン・クレジット取引には「企業による排出削減の努力を後回しにし、クレジットによって足元の目標を達成しようとしている」(「カーボン・クレジットの活用に関する動向と課題」一般財団法人電力中央研究所、2022年7月)など、企業の排出削減戦略や訴求に際し、妥当性が指摘されてきたのも事実だ。
金融庁では、こうした環境整備の進展も見据えつつ、巷間(こうかん)囁かれてきた問題意識を踏まえた課題解決策導出も念頭に、取引インフラと具体的な取引ルールなどの在り方などについて議論を進めようとしているようだ。 【次ページ】金融行政方針で「サステナブルは経営目標」が示唆されたワケ
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