- 2026/05/21 掲載
精度99.3%「AIコンタクトセンター」の衝撃、T&D生命が“採用前提”から脱却するワケ(3/3)
処理件数が“数倍”に…? 人員増なし「AI自動分類」のカラクリ
運用開始後の変化は、数字に明確に表れている。FAQ整備による自己解決は単月で320件を創出。オペレーターにつながる前に顧客自身が問題を解決できるケースが着実に増えた。
VoC分析の領域では、さらに変化が起きていた。
同社は昨年度から苦情の取り扱い範囲を大幅に拡大し、より多くの顧客の声を拾う方針に転換した。通常であれば、対象が広がればそれだけ人手も必要になる。
しかしAIによる自動分類を導入したことで、人員を増やすことなく従来の何倍もの顧客の声を分析できる体制が整った。
「VoC分野に人を追加するのは人事部を含めて難しい状況でした。人で人を補っていくよりも、AIで抽出したほうがコスト的にも魅力的な解決につながった。会社の方針とも合致して、非常に実感のある成果を得られました」(賀來氏)
AIは高齢顧客の“感情”に寄り添えるか? 次世代コンタクトセンター「3つの柱」
T&Dフィナンシャル生命は直接販売を行わないため、顧客との接点は電話“一点”に集約される。だからこそ、その瞬間の対応品質が次の契約継続に直結する。同社が目指すコンタクトセンター像は、次の3つの柱で構成される。
- (1)すぐつながる安心感
- (2)寄り添う安心と質
- (3)スピードと安心の両立
とりわけ難しいのが、高齢富裕層を主要顧客とする同社ならではの課題だ。
保有契約が増え、契約者の年齢が上がるにつれて、電話の途中でご家族に代わるケースが増えてくる。そのとき、金融リテラシーに大きなギャップが生じる。
「保険に入った方の感情が会話の中に出てくることがある。そこまでしっかり汲み取って対話を構築できるAIオペレーターが必要です。ご本人だけでなくご家族の満足度をどう高めるか。そこにAIオペレーターがどう入り込んでいくかが、これからの大事な点だと思っています」(賀來氏)
今後の方向性として同社は、Web・電話双方のVoCを統合的に分析して接点の課題を可視化すること、ナレッジを継続的に整備・更新してAI応対の質と幅を拡大すること、そして利用ログに基づく導線改善と自己解決率の向上を掲げている。
2028年4月の一斉満期というタイムリミットに向けて、AIオペレーターの対応範囲は満期対応から保有契約全般へと広がっていく。
この取り組みが示しているのは、単なるコンタクトセンターの効率化ではない。人材確保が難しくなる中で、「人を増やすことで対応する」という従来の前提そのものが限界を迎えつつあるという現実だ。
今後は、問い合わせ対応を含むあらゆる業務において、「AIを前提に設計する」ことが求められる。
人が足りないからAIを入れるのではなく、AIを前提に業務を再構成する。その転換ができるかどうかが、金融機関の競争力を左右する分岐点になりつつある。
単なる問い合わせ削減ではない。T&Dフィナンシャル生命は、「顧客との関係をどう維持するか」という視点を、AI導入の中心に据えている。
本記事はRightTouchのメディア向けイベントを基に、編集部が再構成・編集したものです。
生命保険のおすすめコンテンツ
生命保険の関連コンテンツ
PR
PR
PR