- 2026/09/09 06:30 掲載
デジタル決済71%を達成したウズベキスタン、楽天・PayPay型の経済圏が競う8分野(2/3)
FINOLABコラム
ステーブルコイン規制に“4段階”サイバー評価…2日目の焦点
2日目は、デジタル資産の規制、サイバーリスク評価、中小企業向け資金調達など、実務的な内容に踏み込んだ議論が行われた。■「ステーブルコインとトークン化証券の規制」(ヴャチェスラフ・パク 発展プロジェクト庁第一副長官)
ステーブルコインは数秒で送金が完了するため、既存の伝統的金融規制をそのまま当てはめることはできない。AML(マネーロンダリング防止)対策や金融統計・金融政策への影響を考慮した法整備が必要となる。
トークン化証券(株式・債券)は世界的に見ても確立された標準モデルがまだ存在せず、議決権やコーポレートガバナンスの保証を含めた先駆的ルールづくりを模索している。
■「段階的サイバーリスク評価制度」(ミルザベク・ボボジャノフ CERT-CBUユニットリーダー)
2027年から金融機関のサイバーリスクと成熟度を評価する新システムを導入する。
一律の規制ではなく、4段階の成熟度レベルを設定。システム上重要な大規模銀行には厳格な基準を適用し、小規模銀行には簡素な基準とすることで、規制リソースの最適化を図る。
■「B2Bおよび中小企業の流動性改善」(ラジェシュ・サバリ Liminal Custody CCO)
ブロックチェーンとトークン化債務の導入により、流動性管理や担保資産の移動性が向上し、新興国中小企業へのアクセス障壁(リスクプレミアム)が低減されると説明した。
6兆ドル市場が狙い…最終日「The Azimuth」とイスラム金融
最終日はイスラム文明センターに会場を移し、「The Azimuth(方位角=ウズベキスタン出身の天文学者たちによって中世イスラム圏で確立した概念)」というキーワードのもと、イスラム金融と起業家精神に特化したプログラムが実施された。イスラム金融についての法整備をめぐっては、次の内容が共有された。
(1)2026年6月にウズベキスタン初となる「イスラムバンキング法」が施行され、シャリア(イスラム法)に準拠した金融取引の法的枠組みが整備された
(2)主な目標として、世界で6兆ドル規模に達するイスラム金融市場からの投資(特にGCC〔湾岸協力会議〕諸国、マレーシア、インドネシアなど)を取り込むことを掲げている
(3)イスラム金融のガバナンス、流動性管理、デジタルインフラ整備、国境を越えた資本移動の標準化について議論が深められた
2030年に向けた“5つの国家目標”、大統領令が示す本気度
ウズベキスタンは、人口約3800万人(中央アジア地域全体では8000万人規模)の若い人口構成と、高いデジタル普及率(デジタル決済普及率は2021年の36%から2025年には71%へ急増)を背景に、急速な金融デジタル化を進めている。2030年に向けた国家目標(大統領令 PQ-359)は、次の5つである。
(1)フィンテック直接投資10億ドルの誘致
(2)ライセンス取得フィンテック事業者を200社以上に拡大
(3)インキュベーションプログラムを通じて100社のスタートアップを輩出
(4)5000名以上の専門人材育成
(5)サンドボックス制度「Regulatory Sandbox 2.0」および量子技術のテストベッド「QFinex Quantum Test Bed」の稼働
本フォーラムは、ウズベキスタンが石油・天然ガスや一次産品依存の経済から、テクノロジーと金融を柱とする知識集約型経済へと舵を切る重要な節目となるものと考えられる。
規制サンドボックスの拡充、サイバーセキュリティ基準の策定、イスラム金融の解禁、そして国際的なベンチャーキャピタルや決済ネットワークとの連携推進により、ウズベキスタンは中央アジア地域における金融・技術面での集積地としての地位固めを着実に進めていることがみえた。
では、こうした国家戦略の足元で、市場は実際どこまで動いているのか。中央銀行関係者や参加企業への取材から見えてきたのは、日本とはまったく逆の順序で進む金融デジタル化の姿だった。 【次ページ】なぜ日本と“逆順”なのか、ウズベキスタン急成長の構造
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