- 2025/08/27 掲載
補助金廃止でいよいよ「EV終焉」か…購入希望も「たった16%」の全然“冴えない”未来
連載:米国の動向から読み解くビジネス羅針盤
米NBCニュースの東京総局、読売新聞の英字新聞部、日経国際ニュースセンターなどで金融・経済報道の基礎を学ぶ。現在、米国の経済を広く深く分析した記事を『週刊エコノミスト』などの紙媒体に発表する一方、『Japan In-Depth』や『ZUU Online』など多チャンネルで配信されるウェブメディアにも寄稿する。海外大物の長時間インタビューも手掛けており、金融・マクロ経済・エネルギー・企業分析などの記事執筆と翻訳が得意分野。国際政治をはじめ、子育て・教育・司法・犯罪など社会の分析も幅広く提供する。「時代の流れを一歩先取りする分析」を心掛ける。
「EV購入したい」人たった16%…
米国でのEV販売は冴えない状態が続いている。連邦政府のEV購入補助金が引き続き受けられるにもかかわらず、第2次トランプ政権発足後のEV新車販売台数は10万台前後で横ばいであり、前年比の伸びも低迷を続けている(図1)。
なお、9月末の補助金廃止を前にした駆け込み需要で7~9月期は前年を上回る伸びが予想されている。米自動車調査企業のコックス・オートモーティブによれば、7月の米新車EV販売台数は前月比26.4%増、前年同月比19.7%増の13万82台で、4,000ドルの補助金支給対象である中古EVも前月比23.2%増、前年同月比40%の伸びであった。だが、廃止後の10~12月期はその反動による大きな落ち込みがあると見られる。
一方で、ハイブリッド車(HV)の新車販売台数は前年比の伸びが顕著に大きい。多くの消費者がHVを好んでいる鮮明な傾向が読み取れる。
米国自動車協会(AAA)が3月に1128人の米成人に対して実施した調査を見ても、「この先、次のクルマとしてEVを購入したいか」との問いに対し、「EVを購入したい」「EVをとても購入したい」と回答した人は合計で、全体のわずか16%に過ぎなかった(図2)。これは、2022年の25%から9ポイントの低下で、2019年以来、最も低い数字であった。

それに対し、「EVを購入したくない」「EVをとても購入したくない」が合わせて63%に達し、2022年の51%から12ポイントも上昇している。
では、なぜEVは不人気なのだろうか。
【次ページ】EVが不人気である本当の理由
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